2021-09-10
その問題は対処してはいけない
先日、とある地方の調剤薬局の経営者様のご相談に対応しました。
その薬局は今後の業界動向を見据え、新たな取り組みを始めたいとの意向でした。
実はその薬局さん、今まで何度も取材を受けるほど、調剤薬局らしからぬ面白い取り組みをしている事業者さんです。
今回も面白そうな取り組みを始める予定だったのですが、いくつか課題がありました。
課題の一つが人材の育成です。
新しい取り組みを始めるためには、それが出来る人材が不可欠。
ですが、なかなかその人材が育たない。
通常業務は出来ても、新しい業務が出来ないという悩みです。
私も同じ業界に身を置いていますから、そうなる原因はピンときました。
調剤薬局は以前に比べると、国から求められる業務の種類が激増しています。
在宅医療や地域の健康作りまで、本当に幅広いのです。
同じ仕事を100回やることは出来ても、100種類の仕事をするのは難しい。
業務の幅が広がれば、新しい取り組みに力を割けません。
つまり、人が育たないのは、国の求める仕事の増加という、構造的な問題です。
構造的な問題を解決しようとすると、医療の仕組み自体にメスを入れなければなりません。
それは無理な話です。
ですから、出来るのは通常業務と切り離して新しい取り組みに専念する人材を育てるしかありません。
新しい取り組みだけで人件費を賄えるくらいのビジネスモデルを想定し、事業計画を立てなければ成功確率は低くなります。
変えられない問題には対処してはいけません。
別の対策がないか、検討する方が実践的です。
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