2025-08-18
小規模薬局が押さえるべき資金ショートの予兆と対策
こんにちは。
元調剤薬局経営者で中小企業診断士・キャッシュフローコーチの梅崎です。
「良い医療は健全な経営から」をモットーに、調剤薬局や中小企業の資金繰り・経営改善のご支援を中心に活動しています。
具体亭には以下のようなご支援をしています。
●会社のお金の流れを見える化することで、お金に関する不安を軽減。
●お金のブロックパズルを活用した根拠ある経営判断のご支援。
●複雑な経営環境を整理し、成長につながる具体的な行動案の導出支援。
●クロスSWOT分析と中長期ロードマップ作成による「未来の数字」を作るご支援。
●多様な思考をすっきり整理し、前向きに取り組めるようサポート。
調剤薬局経営における財務面や具体的な経営施策のお悩みはお気軽にご相談ください。
丁寧に、分かりやすくご支援いたします。
1. はじめに
1-1. 「利益が出ているのにお金が足りない」小規模薬局に多い悩み
「利益が出ているはずなのに、なぜか経営が苦しい」
「会社にお金が残らない」と感じていませんか?
決算書上は利益が出ていても、実際に使える現金は不足する場合があります。
その原因は、調剤報酬の入金と支払いのタイミングのズレ。
それから、在庫を抱えすぎてしまうことも原因になります。
こんな状態が続くと、資金不足に陥りやすくなります。
例え利益が出ていても、です。
まずは「利益」と「現金」の違いを理解して、薬局のお金の流れを確認しましょう。
1-2. 資金ショートは突然ではなく“予兆”がある
資金ショートはある日突然起きるものばかりではありません。
「未病」のような、何とかなっているけど危ない状態があります。
例えば、調剤報酬の入金前は資金がギリギリになったりしていませんか?
薬の在庫が増えているとか、固定費が増加しているなどの傾向はありませんか?
もしくは今まで取れていた加算が取れなくなったりしていませんか?
病院の方針変更や医師の異動、調剤併設のドラッグストアができるなどして、応需している処方箋枚数がじわじわ減っていたりは?
在庫の増加などは、見逃しやすい予兆です。
加算算定や処方箋枚数の減少、固定費の増加は利益が減るので気づきやすいですが、利益の減少が「じわじわ」進んでいる場合は気づくのが遅れる可能性がありますね。
お金の流れを定期的にチェックすることで、早期発見・早期改善が可能になります。
2. 調剤薬局で資金ショートが起きる仕組み
2-1. 入金より支払いが先行する場合に生じる“資金の谷間”
調剤報酬は、診療月のレセプトを翌月10日までに請求し、概ね翌々月20日前後に入金されます。
例えば2025年8月に対応した調剤報酬は9月に請求、入金は10月20日です。
入金までおおむね2か月はかかります。
一方、仕入や経費の支払いが入金より早いこともあります。
お金を受け取る前に支払いが発生するので、タイミングによってはお金が足りなくなる場合があるわけです。
そのため、資金繰りを考える際には必ず入金サイクルを押さえておく必要があります。
2-2. 在庫が増えると手元資金が減る理由
薬の在庫は資産として計上されます。
在庫が多くなれば、その仕入れ代金分手元資金が減ります。
ほかの支払いに使えるお金が少なくなるわけです。
しかも薬の在庫はすぐに現金化できませんよね。
その薬を払い出す処方箋を応需するまで、資金を拘束することになります。
在庫が過剰になれば、その分資金が減り、支払いが苦しくなります。
在庫が多くなりすぎていないか、必要以上になっていないかしっかりチェックする必要があるわけです。
2-3. 固定費は売上に関係なく発生し、手元資金を継続的に圧迫する
薬局を経営するには、家賃や人件費などの固定費を支払わなければなりません。
しかも、売上が多いか少ないかに関わらず、一定の額を払う必要があります。
極端な話、売上がゼロでも固定費は変わりません。
特に薬局は人件費の割合が大きいので、資金繰りへの影響も大きくなります。
固定費が増えすぎていないかをチェックすることが大切です。
ただ、今は賃上げ圧力も大きくなっています。
近隣の飲食店や小売店等も時給がどんどん上がっていますよね。
賃上げ等で人件費がますます増加することを織り込んで、経営しなければなりません。
3. 資金ショートを回避するための実践ポイント
3-1. 万が一の備えを考え資金確保
資金ショートを防ぐには、万が一の備えとなるお金を用意しておくことが大切です。
どれくらいの資金を確保しておくべきかは企業や経営者によってさまざまですが、一般的には運転資金の3か月分ほどが目安と言われます。
人件費や家賃などの固定費のほか、在庫が増える可能性があればその支払い用の資金も用意しておく必要があります。
運転資金がどれくらい必要なのかが分からない場合は、この機会に計算し、いくらくらいの備えを準備するか考えてみると良いですね。
3-2. 資金繰り表で入出金を“見える化”
資金の動きを把握するには資金繰り表を作るのが一番です。
資金繰り表は、一定期間の入金と支払いを整理した表です。
入金は、請求した調剤報酬がいつ・いくら入ってくるかを記入し、支払いは仕入れや固定費などをいつ・いくら出ていくかを記入します。
入金と支払いの差の分だけ、現金が増減するので、先々の資金の変動も予測することができます。
現金がどの時点で不足しそうかを予測できるため、資金ショートの予防になるのです。
毎月更新して実績と照らし合わせれば、数値に基づいた経営判断がしやすくなります。
3-3. 経営数字のどこを見ればいいか
安定した経営を目指すなら、銀行口座の残高は必ずチェックしてくださいね。
言うまでもないと思われるかもしれませんが、お金のことはパートナーや経理担当者、税理士さんに任せっきりで、現預金や借入金がどれくらいあるか知らないという社長も多いのです。
次に、チェックしたいのは在庫。
在庫は増えれば増えるだけ資金が減ります。
非常に高額な薬も多いので、現金が減りすぎていないかチェックが必要です。
特に薬価改定後、仕入れ価格が妥結するまで薬価差益が不明確なままなので注意してください。
労働分配率や固定費について増加していないかチェックしましょう。
定期的にチェックすることで、危険信号を察知できます。
4. まとめ
4-1. 資金ショートは「仕組み」を知れば回避できる
ある日突然病気になることは少ないように、資金ショートも突然起きるわけではありません。
調剤報酬が入金される仕組みや支払い条件、固定費の重さなどが要因となって資金が減り続け、ある時足りなくなるのです。
入金や支払い、在庫などの仕組みを知れば、対処することができます。
まずは入門編として、薬局のお金の流れを把握しましょう。
それだけでも気を付けるべき点が見えてきます。
ご相談いただければ、薬局のお金に関する知識が全くなくても理解できるよう、分かりやすく解説します。
4-2. まずは資金繰り表を作ることから始めよう
資金ショートを防ぐために、最も有効なのは資金繰り表の作成です。
資金繰り表の作り方は様々なサイトで解説されていますし、書籍もたくさんあります。
資金繰り表のひな型も無料のものがたくさん公開されています。
面倒な作業は避けられませんが、複雑な知識がなくても作成は可能です。
まずは3か月から半年くらいの資金繰り表を作ってみてはいかがでしょうか。
先々の資金状況を予測し、早めに手を打つ習慣が身に付きますよ。
5. 資金繰りの不安、まずは無料相談で一緒に確認しましょう
5-1. あなたの薬局に合わせた資金繰り改善の第一歩を支援します
資金繰りに不安があっても、何をどうすれば良いか分からない方も多いものです。
そんな時は気軽に無料相談を利用してください。
会社のお金の流れを把握し、危ない点がないか一緒にチェックしましょう。
リスクが把握できれば、改善の方向性も見えやすくなります。
もちろん相談は秘密を厳守します。
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