返済が重くなる前に—調剤薬局を守る「経営改善計画」
こんにちは。
中小企業診断士でキャッシュフローコーチの梅崎です。
薬局経営を経て、今は調剤薬局の経営支援や、様々な業種の企業さんの経営改善のお手伝いをしています。
本記事では、薬局経営者の皆さまに向けて—
・経営改善計画とは何か
・計画策定が必要になるサイン
を整理しました。
1.経営改善計画とは?
経営改善計画とは、業績不振や資金繰り悪化に直面した企業が、 “事業継続と借入返済” を両立させるために策定する “数値計画+行動計画” の再建ロードマップ です。
一般的に一般に 3〜5年の期間の計画を策定します。
金融機関と合意できれば、返済条件の変更や資金繰り安定につながります。
例えば、「1年後から月に20万円の返済をする」という約束で金融機関からお金を借りたとしましょう。
ところがその後、業績が思うように伸びず、返済する原資がない状態になったとします。
そんな状況の打開策として「金融機関に返済条件変更などの支援をお願いする」という方法があります。
例えば返済開始を少し先延ばしにしてもらったり、返済額を減らしてもらうなどの支援をお願いするのです。
もちろん、一方的に要求をするだけでは支援に応じてもらうことは出来ません。
そこで自社がどのように経営を再建し、返済できるようにするのかを示す必要があります。
その計画が経営改善計画です。
一般的には、3年から5年程度の期間で、今後のビジネスプランや収益改善、コスト削減などの取組と数値計画を作成します。
内容が明確かつ妥当であれば、金融機関も支援しやすくなります。
また、企業側も自社が置かれた現状を把握出来るとともに、今後実施するべき課題が明確になることで、改善に取り組みやすくなります。
目標数値が明らかになるので、全社一丸となって改善に取り組みやすくなります。
2.経営改善計画が必要になる5つのサイン
こんな兆候があれば、急いでご相談ください。
□赤字が2期以上続いている
□赤字の穴埋めで借入をしている(借入で借入を返済している)
□薬代の支払いを後回しにし始めた
□税金や社会保険料の支払いが苦しい
□在庫や人件費などの負担が重い
これらの要因が当てはまるなら、手遅れになる前に計画を策定しましょう。
資金が減れば減るほど、改善に充てられる期間も短くなりますし、打てる手も少なくなります。
3.良い経営なくして良い医療なし
ここ数年、経営改善計画策定の業務が増加しました。
コロナ禍中に融資を受けたものの、業績が改善しないまま、返済時期を迎えた企業さんがたくさんいることが背景です。
最近はさらに人件費や物価高が直撃しており、資金繰りが厳しくなっている企業さんが増えています。
そこで、資金繰りを改善するための取組を検討するとともに、金融機関等に説明して支援を取り付けるために、経営改善計画策定の支援が必要になるのです。
私は中小企業診断士なので、公的機関からのご依頼を受けて経営改善計画の策定支援をすることが多いです。
公的機関からの依頼の場合、計画策定の費用を補助してもらうことが出来るので、自己負担が無いか、グッと少ない負担で支援を受けることが出来ます。
もし少しでも「資金繰りが厳しくなってきた」と感じたら、早めにご相談下さい。
最近、調剤薬局と取引のある企業さんから「調剤薬局の資金繰りが厳しくなっているところが増えている」というお話を聞くようになりました。
「ある日突然倒産したり、夜逃げしたり」なんて話も耳に入ってきます。
中には「銀行への返済だけは契約通りに行わないと経営が行き詰る」と考え、無理な返済を続けた結果、資金が無くなってしまう薬局さんも出ているようです。
税金や薬代の支払いよりも返済を優先する社長もいらっしゃいますが、その優先順位は少し見直したほうが良いかもしれません。
金融機関への返済は交渉の余地があります。
逆に税金や社会保険料の未払いは避けましょう。
公租公課の払いを延滞するリスクは、別途記事にしたいと思います。
ともあれ、事業が続いていくためには、資金が欠かせません。
そのためには適切な利益を得る必要があります。
経営改善計画の策定ではありませんが、調剤薬局さんの支援を依頼されることも出てきました。
「薬局は医療機関なので、お金を最優先すべきではない」と考える社長さんもいらっしゃいます。
確かにその通りだと思います。
「お金が全て」のような経営は、医療機関にはそぐわないものです。
一方で、薬局は地域にとって重要な医療と健康のインフラです。
インフラとして医療の提供や医薬品の物流を担うには、事業を継続し続けることが大前提です。
事業を続けるためには、生き残っていくための利益を得て、安定した資金繰りを続けなければなりません。
そうでなければ、患者さんの健康を守ることも出来ませんし、病院やクリニックさん、医薬品卸さんなどの利害関係者にも迷惑が掛かります。
そうならないよう、早めにご相談下さい。
私たちは「良い医療は良い経営から」をモットーに、地域で頑張る中小調剤薬局の経営をご支援しています。
もし売上や利益、資金繰り、人材育成などでお悩みならお気軽にご相談ください。
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顧問契約等を強要するようなことはありませんのでご安心くださいね。
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