2021-10-28
耳の痛い言葉を聞かなかったために
「ベンチャー企業の経営危機データベース」から、2つ目の事例をご紹介します。
ネットワーク事業などで安定収益を上げていたものの、次々と新事業展開を進めた結果、累積赤字1億円まで達してしまった事例です。
この企業は、売上だけを見ると、年々急成長を続けていました。
しかし、利益を見ると毎年地を這うような低利益、または赤字。
そのうえ、新しい事業に次々と手を出しては赤字を拡大するような状態でした。
このような事例は実は少なくありません。
私が昔ご支援したことがある事業者さんも、複数事業を経営していたものの1事業を除いて残りは全て赤字。
主要事業から注入する利益で赤字を補填し維持しる状態。
冷静に考えれば、不採算事業については冷静に継続・撤退の判断をすべきです。
私ももちろん、これ以上の新事業展開はやめ、むしろ既存事業の見直しを行うよう進言しました。
しかし、一度始めた事業はやめにくいものです。
事業の見直しのような、耳の痛い進言はなかなか受け入れきれません。
事例の代表者の方も、失敗の原因として進言をしてくれる社員の不在が挙げられていました。
急成長するビジネスが急失速する事例は枚挙に暇がありません。
大きな希望や野心を持つのは悪いことではありませんが、一方で冷静に現状を分析し、課題の発見と改善を続ける着実さも欠かせません。
ちなみにこの事例の事業者さんは、放漫経営だったことを反省し、再び成長軌道に乗ったとのこと。
経営者の在り方ひとつで、経営状況は大きく変わるものです。
耳の痛い進言でも真摯に聞く姿勢でいたいですね。
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