2021-11-01
性急な制度変更が招いた危機
私は歴史小説が大好きで、特に宮城谷昌光氏が書く古代中国を舞台にした小説を好んで読んでいます。
先日も宮城谷氏の小説を読んでいると、リーダーに不可欠の素養の話題が書かれていました。
その「不可欠な素養」とは、配分の上手さ。
戦で得た領土や物品を、誰にも不満を抱かせないように配分できることが、リーダーに不可欠な資質であると描かれていました。
部下の評価の上手さと換言しても良いですね。
働きに対する評価は、組織がうまく機能するためにとても重要な要素です。
上手く評価出来れば、組織は活性化しますが、不満の残る評価がまん延すると、組織は機能不全に陥ったり、脱退するものが多発します。
「ベンチャー企業の経営危機データベース」にも評価制度の刷新がうまくいかず、従業員の退職を招いた例が掲載されています。
その企業は順風満帆に経営を続け、人員が増加したため、就業規則の整備を行いました。
ところが就業規則に記載された新たな評価制度が従業員から反対を受けます。
それでも制度刷新を強行したところ、不満が増加。
待遇の改善を提案したものの不満は解消できず、結局退職者を増やす結果になりました。
同資料の中では経営者の経験不足が招いた危機と分析しています。
他にも、激変緩和措置を取らず性急な制度変更を行ったことや、経営者の考えが十分浸透していなかったなどの原因もあり得ると思います。
十分な時間をかけて従業員と話し合い、起業が目指す将来像も伝え、双方納得のうえでじっくり制度変更をしたら、結果は違っていたでしょう。
評価は働き手の心理に大きく影響します。
軽視しないようにしたいですね。
前後の記事
前記事
やる気はどこから来るのか
コメントを残す