これは盲点!節税を気にして、かえって損してる?!

先日、私が所属している日本キャッシュフロー協会のブログに、とても参考になる記事がアップされていました。
非常に参考になる内容だったので、調剤薬局経営者の方にもなじみやすいよう、薬局に置き換えて紹介したいと思います。
こんにちは。
元調剤薬局経営者で中小企業診断士・キャッシュフローコーチの梅崎です。
「良い医療は健全な経営から」をモットーに、調剤薬局や中小企業の資金繰り・経営改善のご支援を中心に活動しています。
具体的には以下のようなご支援をしています。
●会社のお金の流れを見える化することで、お金に関する不安を軽減。
●お金のブロックパズルを活用した根拠ある経営判断のご支援。
●複雑な経営環境を整理し、成長につながる具体的な行動案の導出支援。
●クロスSWOT分析と中長期ロードマップ作成による「未来の数字」を作るご支援。
●多様な思考をすっきり整理し、前向きに取り組めるようサポート。
調剤薬局経営における財務面や具体的な経営施策のお悩みはお気軽にご相談ください。
丁寧に、分かりやすくご支援いたします。
節税で手元の現金が減るかも
さて、参考にさせていただいたブログは2025/8/15に公開された「節税に気を取られて手元現金を減らす落とし穴を解説!それは本当に節税なのか?」という記事。
気になるタイトルですよね。
キャッシュフローコーチという資格を創設された和仁先生が書かれたブログです。
節税が手元現金を減らすことはよくある話ですが、この記事にはそれだけではない視点が盛り込まれています。
利益が出たら節税を考えたくなるけど
順調に事業運営ができているA薬局。
利益もしっかり出せているので、納める税金も多くなりそう。
そこで節税対策として、来年以降に使う予定だった経費を、前倒しで今年使おうと考えた、とします。
とはいえ、大量に薬袋などの消耗品を買い込んでも在庫計上され、経費に上がるのは実際に使用した年度になります。
分包機を買い替えたりしても経費にできるのは当期の減価償却分だけなので、そう簡単ではないと思います。
このあたりの詳しい話は税理士さんに確認してみてください。
さて、もし仮に今年度に計上できる支出があったとしましょう。
そんな支出だったら、前倒ししたら節税になるのでしょうか?
ちょっと考えてみましょう。
今期の決算で1,000万円の利益が出そうだとします。
仮に税率を40%だとしましょう。
節税策をしなければ、400万円を納税し、手元には600万円が残ります。
ここで仮に、本来は次年度にする予定だった500万円の支出を、前倒しで今年度に支出したとします。
そうなれば利益は500万円に減ります。
納税額は500万円×40%=200万円となり、手元に300万円残りますね。
では次年度も同じく1,000万円の利益が見込めるとしましょう。
本来、先ほどの500万円の支出はこの期にする予定でした。
もし前倒しで支出をしていなければ、次年度の利益は500万円。
税率が40%だとしたら、200万円の税金を払って、手元に300万円残ります。
でもその経費はすでに支出してしまっているので、次年度の利益は1,000万円のまま。
税金400万円を納税し、手元に600万円残ります。
前倒ししなかったときは、今年度600万円+次年度300万円のお金が残る。
前倒しした場合、今年度300万円+次年度600万円のお金が残る。
つまり複数年にわたるお金の残り方を見ると「変わらない」ということになります。
分かりやすくするために、ぐっと簡略化された話ですので、全部が全部こうなるわけではないと思いますが、考え方としては分かりますね。
次年度に使う経費を前倒しして今年度の利益を少なくしたとしても、結局利益の総額は変わりませんから。
節税を考えるときの「意外な盲点」
ただ、この記事の面白いところはこれだけではありません。
「本来なら6年使えた設備を、節税のつもりで4年で買い替える」ということした場合、長期的に考えるとどうなるのか?という話が書かれています。
これは「なるほど!」と思った視点でした。
・200万円の設備を6年スパンで買い替える
・30年薬局経営をすると、5回購入することになる
・200万円×5回=1,000万円の支出
・これを4年スパンで買い替えるよう変更
・30年間で7回購入することになる
・200万円×7回=1,400万円の支出
つまり2回購入回数が増えるので、400万円コストアップになるということ。
節税しようと思ったことが、かえって経営を苦しくさせるかもしれないというわけです。
これももちろん、実際にはこんな単純な話ではないと思います。
税については税理士さんにしっかり相談して決められることが大事です。
この話の要点は
「節税したい気持ちは分かるけど、余計な支出をするとかえって危なくなる」
ということです。
健全な経営をするためには、現金が重要です。
手元の現金をいかに増やせるかを考えて、適切な判断をしてくださいね。
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