2026-09-14

患者さんにもメリットがある集客。他院処方を集約した薬局の事例

この記事を読むとわかること

  • 新患を増やすだけではない、処方箋枚数を増やす取り組み
  • 他の医療機関の処方箋も持ってきてもらった薬局の事例
  • 私自身が薬局で取り組んだときに意識していたこと

患者さんを増やしたい、処方箋枚数を増やしたい。

そう考えると、どうしても「新しい患者さんをどう増やすか」に目が向きますよね。

でも、方法はそれだけではありません。

すでに来てくださっている患者さんに、ほかの医療機関の処方箋も持ってきてもらう。これも一つの方法です。

こんにちは。中小企業診断士・キャッシュフローコーチの梅﨑です。

薬局を運営した経験をもとに、現在は調剤薬局をはじめとする中小企業の経営改善支援を行っています。

前回の記事では、最近来られていない患者さんへ電話をして、再来につなげた薬局の事例をご紹介しました。

今回は、すでに来てくださっている患者さんとの関係をもう一歩深める取り組みです。

広域処方箋が月77枚から172枚に増えた事例

公表されているある薬局の事例では、お薬手帳などから複数の医療機関を利用している患者さんを把握し、他の医療機関の処方箋についても個別に案内していました。

事前に処方箋を送ってもらうことで、薬局側が在庫を確認したり、薬を準備したりしやすくする取り組みです。

公表されている数字では、広域処方箋が月77枚から、半年後には150枚、その後172枚まで増えています。

また、2つ以上の医療機関を利用する患者さんの割合も、3%から9%になったと報告されています。

この事例を見たときに、「これ、うちでもやっていたな」と思いました。

私たちも、似た取り組みをしていました

私が薬局を運営していた頃、ちょうど「かかりつけ薬局」という考え方が広がり始めた頃だったと思います。

その頃から私が考えていたのは、できるだけ患者さんの薬を一元的に把握したい、ということでした。

複数の医療機関から薬が出ていれば、重複している薬がないか、飲み合わせに問題がないかなども確認しやすくなります。

いつも利用してくださっている患者さんであれば、それまでの服薬状況や患者さん自身のこともある程度分かっています。

そういう薬局で、ほかの医療機関から出ている薬も含めてまとめて確認できることには、患者さんにとってもメリットがあると思っていました。

そこで、投薬時などにお薬手帳を確認し、複数の医療機関を利用されている方がいれば、他の医療機関の処方箋についても案内してもらっていました。

実際の声の掛け方は、ある程度薬剤師に任せていましたので、当時どのような言い回しをしていたのかまでは正確には覚えていません。

ただ、薬を一か所で管理するメリットなどはお伝えしていたと思います。

当時は、今のような仕組みがほとんどありませんでした

今とは、かなり環境が違いました。

私たちが取り組んでいた頃は、今のようにアプリなどから処方箋を事前に送る仕組みは、ほとんど普及していませんでした。

ですから、「ほかの医療機関の処方箋も、よければ次回から持ってきてください」というような案内が中心だったと思います。

医療機関からFAXを送ってもらえる場合には、それを利用することもありました。

最初は在庫がそろっておらず、お待たせすることもあります。でも、一度その患者さんが使う薬が分かれば、次回からは準備もしやすくなります。

今は処方箋を事前に送る方法など、当時より準備しやすい仕組みがあります。

もちろん、制度も仕組みも当時とは変わっていますので、昔とまったく同じ方法をそのまま行うという意味ではありません。

ただ、患者さんにとってメリットがあるのであれば、他の医療機関の処方箋についても案内してみるという考え方自体は、今でも変わらないのではないでしょうか。

声を掛ける患者さんは考えていました

私たちの場合、誰にでも案内していたわけではありません。

特に意識していたのは、近くに住んでいる患者さんです。

遠くから来てくださっている方に、別の医療機関の処方箋までわざわざ持ってきてもらうとなれば、かえって患者さんの負担になりますよね。

自宅が近い。

普段から利用してくださっている。

他の医療機関の処方箋も同じ薬局へ持ってくることに、それほど負担がない。

そういう患者さんを中心に声を掛けていました。

薬局側が処方箋を増やしたいから、というだけでは続かないと思うんです。

薬を一元的に把握してもらえるという患者さん側のメリットがあって、薬局側にも処方箋枚数が増えるというメリットがある。

患者さんにも役に立って、こちらも嬉しい。

そういうWin-Winの取り組みにできるところがいいと思います。

広域の処方箋が増えていきました

当時は、こうした声掛けだけをやっていたわけではありません。

地域の方向けのイベントを開いたり、食事会をしたり、健康セミナーや折り紙教室をしたり。患者さんや地域の方との接点を増やす取り組みも、いろいろやっていました。

そうした取り組みを続けながら、他の医療機関の処方箋についても案内していきました。

正確な数字は手元に残っていませんが、私の記憶では、もともと97〜99%程度だった処方箋集中率が、最終的には90%前後、あるいは90%を切るくらいまで下がったと記憶しています。

何がどの程度影響したのかは分かりません。

複数の取り組みを同時に行っていましたから、他院処方への声掛けだけの成果とは言えません。

ただ、広域の処方箋が増えて、処方箋枚数そのものの増加につながったのは、経営している側としてやっぱり嬉しかったですね。

当時は、今のように集中率そのものを強く意識して取り組んでいたわけでもありません。

それよりも、それまで別の薬局でもらっていた処方箋を、こちらにも持ってきてもらえるようになった。患者さんにより深く利用してもらえるようになった。

そのことの方が印象に残っています。

新患を増やすことだけが集客ではない

薬局の患者さんや処方箋枚数を増やそうとすると、どうしても新患獲得に目が向きます。

もちろん、新しい患者さんに来てもらうことも必要です。

でも、すでに来てくださっている患者さんとの関係をもう少し深める方法もあります。

前回ご紹介したように、最近来られていない患者さんへフォローする。

今回のように、いつも来てくださっている患者さんに、他の医療機関の処方箋についても案内してみる。

しかも今回の取り組みは、患者さんに薬を一元的に見てもらえるというメリットがあります。

新患を増やすことだけに目を向けるのではなく、すでに自分たちの薬局を利用してくださっている患者さんに、まだできることはないか。

一度、お薬手帳や普段の患者さんとのやり取りを振り返ってみてもいいのではないでしょうか。

「患者数が少しずつ減っている」

「新患を増やす以外の方法も考えたい」

「自分の薬局なら、既存患者さんにどんな取り組みができるだろう」

そんなことでお悩みでしたら、お気軽にご相談ください。

無料相談を受け付けています。

※本記事では、公表されている調剤薬局の取り組み事例を参考にしています。

参考URL:
https://psft.co.jp/pharmacy/interview/kachidoki-pharmacy.php

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