薬局のコスト削減、何から手をつける?総勘定元帳から「本当に減る経費」を探す方法

この記事を読むとわかること
・経営改善で、なぜ経費の見直しから取り組むことが多いのか
・「販管費を○%削減」ではなく、具体的な削減項目を見つける方法
・総勘定元帳から、社長自身も気づいていなかった支出を探す方法
経営改善のご相談をお受けするとき、比較的早い段階で確認するのが、会社から出ていく経費です。
売上を増やすことも、もちろん必要です。
ただ、処方箋枚数を増やす、新しい患者さんに来てもらう、加算を増やすといった取り組みは、始めたからといってすぐに成果が出るとは限りません。
その点、現在払っている経費の中から、やめられるもの、減らせるものを見つけることができれば、会社から実際に出ていくお金を減らすことができます。
特に、毎月、毎年と固定的に出ていく費用を減らすことができれば、その効果はその後も続きます。
こんにちは。中小企業診断士・キャッシュフローコーチの梅﨑です。薬局を運営した経験をもとに、現在は調剤薬局をはじめとする中小企業の経営改善支援を行っています。
今回は、コスト削減を考えるときに、私が実際の支援で行うことがある方法をご紹介します。
人件費以外にも、まだ減らせる支出はないか
固定的に出ていく費用の中で、大きなものといえば人件費です。
ただ、人件費は簡単には減らせません。
「来月から人件費を下げましょう」と、単純に動かせるものではありませんよね。
そのため、経営改善の場面では、人件費以外の販管費に削減できるものがないかを確認することがあります。
ところが、ここで一つ問題があります。
私のところへ経営改善のご相談に来られる会社では、すでに経営者自身がコスト削減に取り組んでいることが多いんです。
「これはいらないからやめよう」
「ここは少し抑えよう」
自分で思いつくものは、もう削っている。
それでも、まだ会社にお金が残らない。借入金の返済まで考えると、もう少し支出を減らさなければならない。
そういう場面があります。
では、社長自身が「もう削れるものは思いつかない」という状態から、さらに削減できる経費をどうやって探せばいいのでしょうか。
「販管費を○%削減」だけでは、実際の行動につながりにくい
経営改善計画を作っていると、コスト削減の計画を入れなければ、返済に必要なお金が残らないことがあります。
その結果、
「消耗品費を○%削減する」
「交際費を年間○万円減らす」
といった計画を置くことがあります。
数字として計画を作るためには、こうした形にならざるを得ない場合もあります。
ただ、できれば私は、ここで終わらせたくありません。
なぜなら、「販管費を5%削減する」と決めても、具体的に何をすればいいのか分からないからです。
実際にコストを減らすのであれば、
どの支出をやめるのか。
どの支出を減らすのか。
何をどう変えて、年間いくら減らすのか。
ここまで具体的にしたいところです。
理想を言えば、
「○○社に支払っているこの経費を見直して、年間○万円削減する」
というくらい、取引先や支出内容を固有名詞で言えるところまで落とし込みたい。
「販管費を5%減らす」ではなく、「このコストを減らす」と名指しできる状態です。
そこまで決まれば、コスト削減が単なる数字上の目標ではなく、具体的な行動になります。
問題は、その「このコスト」をどうやって見つけるかです。
社長の記憶だけで探すと、どうしても漏れる
以前は私も、
「ほかに何か削れそうなものはありませんか?」
「使わなくてもいい経費は残っていませんか?」
と経営者の方に何度も聞きながら、削減できるものを探すことがありました。
ただ、この方法には限界があります。
社長自身が経理入力をしていれば、ある程度は思い当たるかもしれません。
それでも、一年間に支払った経費の細かい内容まで、すべて覚えているわけではありません。
経理をほかの方に任せていれば、なおさらです。
特に気づきにくいのが、一回あたりの金額がそれほど大きくない支出です。
たとえば、駐車場代やタクシー代のような支出です。
その都度見ると、それほど大きな金額には感じません。
ところが一年分をまとめてみると、20万円、30万円になっていることがあります。
そうすると、
「年間でこんなに使っていたんですね」
「ここは、もう少し使い方を見直してもいいかもしれませんね」
という話になります。
一回一回では気にならなかった支出でも、まとめて見ることで見え方が変わるんです。
総勘定元帳から、実際に払っている経費を一覧にする
そこで使うのが、総勘定元帳です。
私は、総勘定元帳のデータをExcelで加工して、販管費を取引先や取引内容ごとにまとめた一覧を作ることがあります。
そして、支出額の大きいものから順番に並べます。
こうすると、会社が、
「どこに」
「何のために」
「どれくらいのお金を払っているのか」
が見えやすくなります。
そこから、上から一つずつ見ていきます。
「これは何の経費ですか?」
「今、何のために使っていますか?」
「実際に効果はありますか?」
「これからも続ける必要がありますか?」
そんなことを一つずつ確認していきます。
必要なものなら、もちろん残せばいいんです。
一方で、
「これはもうやめてもいいかもしれない」
「すぐにはやめないけれど、次は見直そう」
「この使い方は、もう少し厳しく管理したほうがいい」
というものが出てくることがあります。
実際にこの方法で一つずつ見ていくと、社長自身も意識していなかった支出から、削減案が出てくることがあります。
何でも削ればいいわけではありません
もちろん、一覧に出てきた経費を片っ端から削ればいいわけではありません。
大切なのは、そのお金を払い続ける意味があるかどうかです。
現在の売上や、これからのキャッシュフローにつながっていて、きちんと効果が出ている支出であれば、残すという判断も当然あります。
また、セキュリティ対策のように、直接利益を生み出さなくても、万が一のリスクに備えるために必要な支出もあります。
反対に、
「以前から契約しているから、そのまま続けている」
「何となく使っているけれど、今はあまり効果を感じていない」
というものなら、一度見直してみてもいいでしょう。
私が「これは不要です」と決めるわけではありません。
一つずつ内容を見ながら、最終的には経営者自身に判断していただきます。
そのときの一つの基準になるのが、費用対効果です。
今、このお金を使い続けるだけの効果や意味があるのか。
会社のお金には限りがあります。
特に、借入金の返済にも苦労している状況であれば、「やりたいから続ける」だけではなく、今の会社にとって本当に優先すべき支出なのかまで考える必要があります。
コスト削減は、比較的早く数字に反映されやすい
経営改善でコスト削減を早めに確認するのには、もう一つ理由があります。
売上を増やす取り組みは、自分たちだけで結果を決めることができません。
患者さんに選んでもらう必要がありますし、新しい取り組みを始めても、成果が出るまで時間がかかることがあります。
一方で、現在支払っている経費について、
「これはやめる」
「ここは減らす」
と決めて実行できれば、その分だけ会社から出ていくお金は減ります。
売上を増やす取り組みと比べると、自社で判断できる部分が大きく、成果も数字に表れやすい。
だからこそ、経営改善では早い段階で確認しておきたいところなのです。
「何%削るか」ではなく、「何を削るか」を決める
コスト削減をするときに、
「販管費を何%減らそう」
というところで止まってしまうと、なかなか実行にはつながりません。
できれば、
「この取引先への、この支出を減らす」
と固有名詞で言えるところまで具体的にする。
そのためには、社長の記憶だけを頼りにするのではなく、実際に会社から出ているお金を一度並べてみることです。
総勘定元帳から一覧を作り、金額の大きいものから一つずつ見ていく。
必要なものは残す。
効果が薄くなっているものは見直す。
やめても問題がないものなら、やめる。
非常に地味な作業です。
でも、「販管費を5%削減する」という数字だけの計画よりも、こちらのほうが実際のコスト削減につながりやすいと私は考えています。
「自分ではもう削れるところが思いつかない」
「経費を減らす必要があるけれど、何から手をつければいいか分からない」
「自社の支出を一度整理してみたい」
そんな場合は、お気軽にご相談ください。
総勘定元帳などをもとに、実際にどんな支出があるのかを一緒に整理しながら、削減できるものがないか考えていきます。
無料相談はこちらからお申し込みいただけます。
https://landc.net/contact/
前後の記事
コメントを書くにはログインが必要です






