2026-09-10

患者さんが来なくなったら、そのままにしない。フォローで再来につなげた薬局の事例

この記事を読むとわかること
・最近来ていない患者さんへの架電で、再来につなげた薬局の取り組み
・患者さんへの電話を、現場で続けられるようにするための工夫
・私自身が患者さんへの電話でつまずいた経験と、今ならどうするか

「そういえば、あの患者さん、最近来られていないな」と思うことはありませんか。
以前は定期的に来てくださっていたのに、いつの間にか来局されなくなっている。
でも、こちらからは特に何もしていない。
そんな患者さんもいらっしゃるのではないでしょうか。

こんにちは。中小企業診断士・キャッシュフローコーチの梅﨑です。
薬局を運営した経験をもとに、現在は調剤薬局をはじめとする中小企業の経営改善支援を行っています。

今、ある薬局さんのご支援の中で、患者さんに継続して利用していただくために、どんな取り組みができるかを考えています。

私自身も薬局を運営していた頃、患者さんへの電話フォローに取り組んだことがあります。
ちょうど服薬期間中のフォローアップに取り組んでいた頃で、このときの目的はリピート率を上げることではありませんでした。
薬をお渡しした後に問題が起きていないか、体調に変化がないかを確認するための電話です。

ところが、実際にやってみると、なかなかスムーズにはいきませんでした。
電話がつながらない。
スタッフもなかなか電話をかけられない。
そんな経験があります。

今回、患者さんの再来につながった事例を調べている中で、競争が激化する中、リピート率向上のために「患者さんへの電話」に取り組んでいる薬局さんの事例を見つけました。
私自身の失敗も振り返りながら、どうすればこうした取り組みを続けられるのかを考えてみたいと思います。

近くに薬局が増える中で始めた、患者さんへの電話

この薬局さんの周辺では、近年、ドラッグストアやほかの調剤薬局の出店が続いていたそうです。
その中で、どう差別化して、患者さんに選んでもらうかということを考える必要がありました。

そこで始めた取り組みの一つが、最近来局していない患者さんへの電話です。

一定期間来局していない患者さんをリストアップする。
その中から電話をする患者さんを選び、薬局から連絡してみる。
そして、その結果を毎週確認していくという取り組みです。

ある月には、電話をかけた患者さんの54.8%が再来し、売上に換算すると40万円以上の効果があったと紹介されています。

半分以上の患者さんが再来したというのは、気になりますよね。
では、具体的に何をしていたのでしょうか。

毎週、やることを決めて回していた

この薬局さんでは、1週間を一つの区切りとして取り組んでいます。

週の初めに、一定期間来局していない患者さんのリストを作る。
薬歴などを確認しながら、その中から電話をする患者さんを選ぶ。
その週のうちに電話をかける。

そして1週間ごとに、リストに上がった患者さんの数、電話をかけた数、実際に話せた数、患者さんの反応などを取りまとめて、本部へ報告しています。
必要があれば、本部と店舗の担当者で話をする。

こうやって、毎週の数字や現場の反応を確認しながら取り組みを進めていたそうです。

やっていること自体は、割とシンプルですね。
対象となる患者さんを確認する。
電話をする。
結果を見る。
必要ならやり方を見直す。

これらの繰り返し。

出来そうな感じがしますね。

でも、最初からうまくいったわけではありません

これだけ見ると、順調に成果が出たように見えます。
でも、実際には最初からうまくいったわけではなかったそうです。

この薬局さんでは、取り組みを始めた当初の課題として3つ挙げています。

一つは、数値目標がなかったこと。
もう一つは、患者さんへ電話をかけることに現場が慣れていなかったこと。
そして、各店舗に任せすぎていたことです。

この話を読んで、私自身が薬局で電話フォローをやっていた頃のことを思い出しました。
私たちも、同じようなところでつまずいていたからです。

私も、患者さんへの電話でつまずきました

私が苦労した一つ目は、電話がなかなかつながらないことでした。

患者さんが仕事をされているのか、何時頃なら電話に出られるのか。
こちらには分かりません。

しかも当時は、「後日、薬局から電話をすることがあります」と事前に十分お伝えできていませんでした。
患者さんからすれば、知らない番号から突然電話がかかってくるわけです。

何度かけてもつながらない。
これは結構苦労しました。

もう一つは、電話をかける側がなかなか動けなかったことです。

薬剤師もスタッフも、普段は薬局に来られた患者さんとお話しします。
自分から患者さんへ電話をすることには慣れていません。

何を話せばいいのか。
今かけて迷惑ではないか。
ちゃんと話せるだろうか。

そういう心理的なハードルもあったと思います。
結果として、1日に1件電話をかけるだけでもなかなか進まない。
そんな状態でした。

「まず3人に電話してみる」から始める

今回の事例では、こうした課題に対して、やり方を変えています。

まず、店舗ごとに小さな数値目標を設定しました。
たとえば、「まずは3人に電話してみる」というところから始めています。

いきなり大きな成果を求めるのではなく、まず電話をかけることに慣れる。
電話をしてもつながらないことはありますから、最初は結果よりも、まず行動する習慣をつけるところから始めたわけです。

これは、私自身の経験から考えても分かります。
「患者さんに電話してください」だけでは、なかなか動けません。
でも、「まず3人やってみよう」なら、かなりハードルは下がりますよね。

電話の流れを、スタッフみんなが分かるようにする

もう一つ、この薬局さんでは、薬剤師だけではなく事務スタッフも含めて取り組めるようにしています。
そのために、薬剤師向け、事務スタッフ向けと分けて研修を行っています。

誰が何をするのか。
何のために電話するのか。
どういう流れで進めるのか。

そこを最初にそろえています。

単に「電話をしてください」と仕事を渡すのではなく、実際に動けるところまで準備した。
ここも、継続できた理由の一つだと思います。

成果が見えると、電話を続けやすくなる

さらに、この薬局さんでは、電話をしたときの患者さんの反応を店舗や本部で共有しています。

患者さんから感謝の言葉をいただいたこと。
電話をきっかけに、再び薬局へ来てくださったこと。
そうした結果が、ほかの店舗にも見えるようになっていました。

これは大きいと思います。

新しい仕事を始めても、「これをやって何になるんだろう」と思ったままでは続きにくいですよね。
一方で、自分たちが電話をしたことで患者さんに喜んでもらえた。
実際に再来にもつながっている。

そういう成果が見えれば、「やってみよう」という気持ちにもつながりやすくなります。
実際、この薬局さんでも、患者さんからの声が店舗を超えて共有されることで、電話に対する現場のハードルが下がったと紹介されています。

つながりやすくする準備をしても良いかも

自分の失敗を振り返って、今なら変えるだろうなと思うことがあります。

最初から、投薬後のフォローアップなどで後日電話をする可能性があるのであれば、投薬時にそのことを患者さんへお伝えしておけば良かったな、と。

一応伝えるようにしてたんですが、もっとしっかり伝えれば良かったなと思います。


そのうえで、電話に出やすい曜日や時間帯、反対に出にくい時間帯を確認しておくと思います。

当時の私たちは、電話に出やすい時間帯等の確認をやっていませんでした。
だから、患者さんが電話に出られる時間も分からないまま、とにかくかけていました。

今考えると、ここは最初に準備できたところだったと思います。

問診票などで連絡しやすい時間帯を確認するのであれば、個人情報の利用目的を含め、自店の現在の運用と合っているかも確認しておきたいところです。

私たちの漢方薬店では、はがきを出しています

私たちが営んでいる漢方薬店でも、似たような考え方で取り組んでいることがあります。

3か月ほど来店のないお客さんには、はがきをお出ししています。
売るためだけではありません。

「その後、体調は大丈夫だろうか」
「お変わりないだろうか」

そこが気になるんですよね。

今回の薬局さんは電話です。
私たちは、はがきを使っています。

それによって、リピート率向上に一定の貢献ができています。

やり方は違いますが、一度来てくださった方との関係を、そのまま途切れさせないというところは同じだと思います。

患者数を増やす方法は、新患を増やすことだけではない

薬局の患者数を増やそうとすると、どうしても「新しい患者さんをどう増やすか」という話になりがちです。

もちろん、それも必要です。
でも、一度来てくださった患者さんが、その後来られなくなっているとしたら、そこに目を向ける方法もあります。

最近来られていない患者さんを確認する。
必要な方へこちらから連絡する。
その結果を確認して、また次の取り組みにつなげていく。

今回の事例は、その一つの方法として参考になると思います。

患者数を増やすことは、キャッシュフロー改善の入り口です

患者数だけで、薬局のキャッシュフローが決まるわけではありません。
患者さんが増えれば薬の仕入れも増えますし、人件費なども考えなければいけません。

それでも、患者さんに来ていただかなければ売上は生まれません。
だから、患者数を見ることはキャッシュフロー改善を考える入り口の一つです。

新しい患者さんを増やすことだけではなく、すでに来てくださった患者さんとの関係をどう続けるか。
そこにも、まだできることがあるのではないでしょうか。

「最近、患者数が少しずつ減っている」
「リピートを増やしたいけれど、何から始めればいいか分からない」
「自分の薬局ならどんな取り組みができるか考えたい」

そんなことでお悩みでしたら、お気軽にご相談ください。
無料相談を受け付けています。

※本記事では、公表されている調剤薬局の取り組み事例を参考にしています。
参考記事:https://musubi.kakehashi.life/case/221215-kuboyakkyoku

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