収益が改善しても、お金が足りない?薬局が早めに経営計画を立てたい理由

この記事を読むとわかること
- 収益が改善しても、資金繰りが苦しいままになる理由
- 月ごとの損益と資金繰りを、セットで計画する意味
- 薬局の事情が分かる専門家と、苦しくなる前に計画を立てる必要性
今期は技術料が落ちていて、このままでは赤字になりそうだと感じていませんか?
支払いはできていても、「この先は大丈夫だろうか?」と不安になることはありませんか?
SNSを見ていると、技術料の減少や今後の経営を不安に感じている薬局経営者の投稿を見かけます。
もちろん、「薬局経営が結構きつくなってきてて・・・」とお聞きすることも増えました。
こんにちは、天心堂L&Cコンサルティングの梅﨑です。
私はこれまで、何件も薬局さんの経営改善や資金繰りのご支援に携わってきました。
その中で感じているのは、資金繰りがめちゃくちゃ悪くなっちゃうと、収益を改善するだけでは立て直しが難しくなるな、ということです。
経営計画や資金繰り計画は、余裕のあるうちに立てておかないと間に合わない場合がある、と思っています。
損益だけでなく、いつ、どれくらいのお金が必要になるのか、資金が回るかどうかまで見据えて、数値計画を立てておくことを、強くお勧めします。
利益だけ見ていても、安定経営できないことも
経営改善のお手伝いをするときは、もちろんコストダウンや加算算定、集患やリピート率改善などに取り組み、収益の改善に取り組みます。
当然、収益が改善すれば、基本的に資金繰りも改善します。
ただし、それで、借入金の返済やたまってしまった未払金の支払いを賄えるかどうかは別の話です。
実際、結構な努力をして赤字店舗を黒字化し、利益は出るようになったのに、それ以上に支払いがかさみ、現金が減っていくことがあります。
そもそも、薬局は価格を自由に引き上げられるわけではありません。
薬価や調剤報酬の仕組みの中で経営している以上、短期間で利益を増やすにも限界があります。
そのうえ、改善によって確保できるお金よりも、返済などの支払いが大きければ、頑張っているのにお金が足りないという状態が続いてしまうのです。
そうなると、外部から資金を確保しなければ、改善を続けること自体が難しくなってしまいます。
せっかく収益が改善してきたのに、支払いに必要なお金が足りないというのはつらいものがあります。
だからこそ、安定して経営が続けられている間に、先々の損益と資金繰りを確認しておいてほしいのです。
売上や利益を見るだけでは、資金不足を見落とすかも
処方箋の応需回数などから売上や技術料を見込み、粗利の範囲で人件費やその他の経費を賄えるかを考えれば、損益についてはある程度見通しを立てられますよね。
数値計画の形まで落とし込んでいるかは別としても、ほとんどの薬局経営者さんは売上や利益については予測をたてられています。
しかし、資金繰りを考える際には、売上や利益だけでは不十分です。
借入返済や税金、労働保険料、賞与などの支払い時期まで確認しなければなりません。
なぜなら、それらの支払いが特定の時期に集中すると、一気にお金が無くなる場合があるからです。
さらに薬局では、薬の仕入れ代金の支払いと、価格妥結後の精算の時期にも注意が必要です。
例えば、4月から仮の価格で支払い、9月に妥結して、10月に半年分の値引きをまとめて入れてもらっている薬局さんも少なくないですよね。
後から精算されるとしても、4月~9月の間は、妥結前の価格で支払うので、相応の現金は確保しておかなければなりません。
そこに税金や労働保険料、夏の賞与などの支払いが重なれば、資金繰りが急に苦しくなる月が出てくる可能性があります。
支払が滞ってしまうと、リカバリーが大変になります。
失った信用を取り戻すのも大変ですし、交渉や手続きに時間も労力も取られます。
薬局ではありませんが、資金繰り支援で携わらせていただいた介護事業でも、春から夏に支払いが集中し、毎年その時期に資金が足りなくなる例がありました。
その際は、損益計画や資金繰り計画の作り方をお伝えし、資金繰りの強化に取り組んでいただくことで難局を乗り越えることになりました。
薬局では、さらに薬の仕入れ代金も資金繰りに影響します。
薬価改定の影響はもちろん、急に高額なお薬が処方されるようになった場合なども資金を圧迫します。
最近は高額なお薬も多いですから、常々資金繰りに気を付けておかないと、あっという間にお金が足りなくなる可能性もあるのです。
見ておきたいのは売上や利益だけではありません。
資金の動きこそ、安定経営の本丸です。
年間で利益が出る見通しでも、毎月の支払いを賄えるとは限りません。
損益と資金繰りは、両方を確認しておきたいところです。
支払いを先送りすると、その後の負担が増えます
お金が足りなくなったとき、支払い先に相談して、支払いを待ってもらったり、分割にしてもらったりすることで、その場をしのげる場合もあります。
例えば社会保険料についても、所定の要件を満たせば、猶予や分割納付が認められる場合があります。
ただし、支払うべき保険料そのものがなくなるわけではありません。
その後は、通常の保険料に加えて、過去の未払い分も納めていくことになります。
今月を何とか乗り切れても、その分、後の支払いが重くなってしまいます。
そこで再びお金が足りなくなれば、立て直しはますます難しくなります。
そのため、一度資金不足に陥ってしまうと、本来の支払いだけでなく、先送りした分まで含めて、今後の資金繰りを考える必要があります。
重荷をしょって坂を上るようなものですから、通常の何倍も労力が必要になります。
だからこそ、普段から資金が足りなくなる月を作らないよう、余裕のあるうちに備えておきたいのです。
一年分の月次損益と資金繰りを計画しましょう
3年~5年中期的な計画を立てておくと、より先の経営を考えやすくなります。
ですが報酬改訂もありますし、あまり先々までの計画を立てるのは難しい場合もあります。
そこでまず取り組んでほしいのは、一年間の、月ごとの損益計画と資金繰り計画を作ることです。
月ごとに売上や経費の数値を計画し、それを資金の動きに転換してみるのです。
すると「このあたりの月は結構きついぞ」とか、「このペースで仕入れが推移すると厳しいぞ」とか、先々の見通しが立つようになります。
もちろん、計画どおりに数字がぴたりと当たるとは限りません。
それでも、「この月は少し気をつけておこう」「この支払いを忘れていた」と気づければ、前もって準備ができます。
また、経営をしていると、思ってもいなかったような出費に見舞われることも少なくありません。
設備が突然壊れたり、店舗を移転しなければならなくなったりすることもあります。
実は私も、先日車のタイヤがパンクし、タイヤを買い替える羽目になりました。
しかも同じ日に事務室のエアコンまで壊れ、Wで痛すぎる出費を経験しました。
こんなことはしょっちゅうあります。
万が一に備えて、ある程度の現金は手元に置いておかねばなりません。
それも踏まえて、しっかりと資金を計画しておきましょう。
計画を作った後は、月ごとの実績と比べていきます。
見込みとどこが違ったのかを確認し、その後の資金繰りの見通しも修正します。
数字を見ながら話せれば、経営幹部の方や管理薬剤師さんとも、経営上の課題を共有しやすくなります。
経営者だけで不安を抱えるのではなく、今の状況を踏まえて話し合うためにも、計画が役立ちます。
薬局の事情が分かる専門家と一緒に作りましょう
計画を立てるときは、薬局のことが分かる専門家と一緒に取り組むことをお勧めします。
薬価改定の影響や加算算定など、薬局は特殊性が強いですよね。
それらを踏まえた計画にするなら、必要な実績要件や体制を満たせるかまで考える必要があります。
例えば、人件費を減らせば、計算上の利益は増えるかもしれません。
しかし、人員を減らしすぎると、加算に関わる実績を満たせなくなったり、体制を維持することが難しくなる可能性もありますよね
こうした薬局特有の条件を理解し、実行できる計画になっているかを一緒に検討できる専門家に相談してほしいと思います。
資金繰りが苦しくなる前に始めてほしいのです
まず取り組んでほしいのは、資金繰りが苦しくなる前に数値計画を作ることです。
資金が足りなくなってからでは、収益の改善が支払いに追いつかない場合があります。
支払いを先送りすれば、その後の負担も増えてしまいます。
だからこそ、まだ余裕があるうちに、一年間の月次損益と資金繰りを確認できる状態にしておいてほしいのです。
薬局の事情が分かる専門家と一緒に、まずは計画を作るところから始めてみませんか?
前後の記事
コメントを書くにはログインが必要です






