毎月どこを見ればいい?薬局経営で押さえたい5つの数字

「毎月いろいろな数字が出てくるけれど、正直、どこを見ればいいのか分からない」
薬局を経営していると、そんなふうに感じることはないでしょうか。月次の試算表を開いても、たくさんの項目が並んでいて、どこを見れば良いか分かりにくいですよね。そんな時はこの5つをまずチェックしましょう。
こんにちは。中小企業診断士・キャッシュフローコーチの梅崎です。薬局経営の現場を経験したのち、現在は調剤薬局をはじめとする中小企業の経営改善支援を行っています。
先日、ある薬局の社内研修で、経営幹部の方々に向けて「お金のブロックパズル」についてお話しする機会がありました。
その際、次のような質問をいただきました。
「月次で数字を確認するとしたら、どの数字を中心に見ればよいでしょうか」
数字を見る習慣がまだ定着していない場合、最初からすべての項目を細かく確認しようとしても、なかなか続きません。そこで今回は、月次会議でまず押さえておきたい5つの数字についてお伝えします。
この記事を読むとわかること
・薬局の月次会議で、まず押さえておきたい5つの数字
・その5つを、なぜ毎月確認する必要があるのか
・数字を年に1回ではなく、日頃の経営判断に活用する考え方
なお、この記事では、数字を見ることに慣れていない方でも取り組みやすいように、会計上の細かな部分には踏み込まず、分かりやすさを優先し、簡略化して説明しています。
お金のブロックパズルとは
本題に入る前に、この記事で何度か出てくる「お金のブロックパズル」について、簡単にご説明します。
お金のブロックパズルは、キャッシュフローコーチが経営支援で活用しているフレームワークです。
会社のお金の流れを、売上、仕入れ、粗利、人件費やその他の経費、利益、税金、借入金の返済、手元に残るお金という順番で、ブロックのように並べて見える化します。
会計の知識があまりなくても、「お金がどこから入り、何に使われ、最後にいくら残るのか」をひと目でつかみやすくなるのが特徴です。
なお、お金のブロックパズルについては、オンラインウェビナーでも詳しくお話ししています。さらに知りたい方は、そちらもご覧ください。
まずは、ざっくり押さえることから
数字は、たくさん見ればよいというものではありません。
見る項目が多すぎると、どこを見ればよいのか分からなくなり、結局続かなくなってしまいます。
だからこそ、最初は今回ご紹介する5つの数字だけを、ざっくり押さえるところから始めましょう。そのうえで、「ここは少し気になるな」という変化が見つかったときに、原因を詳しく確認していけばよいのです。
5つの数字は、詳しい分析を行うための入口。最初からすべてを理解しようとする必要はありません。
また、数字を見るときは、その月の金額だけを見るのではなく、毎月の推移や前年同月、計画と比べながら確認することが大切です。
上がっているのか、下がっているのか。計画どおりに進んでいるのか。まずは、その変化に気づけるようになることを目指しましょう。
そして、何より大切なのは、毎月続けることです。
大きな変化が見つからない月もあります。それでも見続けることで、「今月は少しおかしいな」という変化に早く気づけるようになります。
月次会議で追いたい5つの数字
①売上高
まず確認したいのは、売上高です。
処方箋がどれくらい来て、薬局全体としてどれくらい売り上げたのかを表す、最も分かりやすい数字です。多くの経営者の方が、普段から気にしている数字でもあるでしょう。
まずは、前月や前年同月、計画と比べて、売上が増えているのか、減っているのかを確認します。
売上の動きに気になる変化があれば、そのときに原因を詳しく見ていけば構いません。最初から細かく分解するのではなく、まずは薬局全体の動きをつかむための出発点として、毎月確認していきましょう。
②粗利
次に確認したいのが、粗利です。
ここでは、売上から医薬品の仕入れ代を引いて、薬局にどれくらい残ったのかを表す数字と考えましょう。
売上として入ってくるお金のうち、仕入れ代は卸へ支払う必要があります。そのため、薬局の人件費や家賃などを賄い、経営を支える元になるのは、売上そのものではなく、仕入れ代を引いた後に残る粗利です。
売上が増えていても、粗利が同じように増えているとは限りません。反対に、売上が少し下がっていても、粗利が大きく変わっていないこともあります。
そのため、売上高と粗利は、できるだけ一緒に確認することが大切です。
この粗利の範囲内で、人件費や家賃などの経費を賄うことができれば、利益が残ります。借入金の返済がきちんと回るかどうかは別に確認する必要がありますが、まずは粗利がどれくらい残っているかを毎月見ていきましょう。
③営業利益
3つ目は、営業利益です。
営業利益は、粗利から人件費や家賃、水道光熱費などの経費を差し引いた後に、本業でどれくらい利益が残ったのかを表す数字です。
売上や粗利が順調に見えていても、経費が増えていれば、利益は残りません。
本業できちんと利益が出ているのか。利益が毎月どのように動いているのか。営業利益を確認することで、薬局の経営がどのような状態にあるのかをつかみやすくなります。
④人件費
4つ目は、人件費です。
薬局は、薬剤師や調剤事務などのスタッフがいて初めて成り立つ事業です。そのため、人件費は経費の中でも特に大きな割合を占めます。
人件費は、採用や昇給、賞与などによって増減します。何か月か続けて数字を並べることで、増加傾向にあるのか、大きな変化がないのかを確認できます。
「最近、人件費が少しずつ増えているな」という変化を早めにつかむことができれば、その理由を確認し、必要な対応を検討しやすくなります。
また、慣れてきたら、粗利に対して人件費がどれくらいの割合を占めているかも確認してみましょう。
粗利が増えていない一方で、人件費だけが増え続けている場合には、特に注意が必要です。
⑤手元資金(現預金残高)
最後は、手元資金です。銀行口座や現金に、現在どれくらいのお金が残っているかを確認します。
利益が出ていたとしても、支払いに必要な現金が足りなくなれば、経営は立ち行かなくなります。そのため、利益と手元資金は分けて確認する必要があります。
手元資金を見るときは、現在の残高だけではなく、これから予定されている支払いもあわせて確認しましょう。
例えば、賞与、納税、借入金の返済、医薬品の仕入れ代などです。先々にまとまった支払いが予定されている場合は、その分を見越してお金を残しておく必要があります。
薬局には、売上が計上されてから、実際に現金として入金されるまでに時間差があります。
保険請求分は、原則として診療月の翌々月に入金されます。つまり、売上が立っていても、そのお金が手元に入るまでには、およそ2か月かかります。
だからこそ、利益だけではなく、「今いくら現金があり、この先の支払いに足りるのか」を毎月確認することが大切です。
決算は健康診断、月次は毎日の体重計
ここまで、月次会議で確認したい5つの数字をご紹介しました。
では、なぜこれらの数字を毎月見る必要があるのでしょうか。
これは、健康管理に似ています。
健康診断は通常、年に1回です。しかし、日頃の体調の変化に気づくきっかけになるのは、体重や血圧などを定期的に確認することではないでしょうか。
「最近、少し体重が増えてきた」「血圧が高くなってきた」と早めに気づくことができれば、大きな問題になる前に生活を見直すことができます。
薬局の数字も同じです。
年に1回、決算書だけを確認するのは、健康診断の結果だけを見ているようなものです。一方で、毎月数字を確認していれば、小さな変化にも早く気づけます。
問題が大きくなってから対応するのではなく、変化の兆しが見えた段階で手を打つ。そのための日頃のチェックとして、この5つの数字を活用していただきたいと思います。
まとめ
薬局の月次会議で、まず確認したい数字は、次の5つです。
・売上高
・粗利
・営業利益
・人件費
・手元資金
最初から試算表のすべての項目を細かく確認しようとすると、数字を見ること自体が負担になってしまいます。
まずは、この5つの数字を毎月並べ、上がっているのか、下がっているのか、計画どおりに進んでいるのかを確認してみましょう。
特に大きな変化が見つからない月もあるはずです。それでも、毎月見続けることに意味があります。
数字を見る習慣がついていれば、少し動きがあったときに、「いつもと違うな」と気づくことができます。早く気づくことができれば、問題が大きくなる前に対応できます。
数字は、年に1回まとめて確認するだけのものではありません。毎月ざっと目を通し、経営の変化に気づくために活用するものです。
「この5つの数字を、自分の薬局でも一度並べてみたい」「数字の見方を一緒に確認してほしい」という方は、無料相談をご活用ください。
経営判断に必要な数字を、毎月確認できる仕組みづくりをお手伝いします。数字が得意でなくても問題ありません。一緒に整理していきましょう。
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