新規事業の試算、「黒字になるか」だけで判断していませんか?借入返済まで見えていますか

新しい事業を考えるとき、経営者の頭の中には「これで道が開ける」という未来の絵が描かれているものです。現状のままではジリ貧になる。だから、新しいことに挑戦する。その判断自体は、経営者として自然で前向きなものだと思います。
こんにちは。中小企業診断士・キャッシュフローコーチの梅崎です。薬局経営の現場を経験したのち、現在は調剤薬局をはじめとする中小企業の経営改善支援を行っています。
今回は、新しい取り組みや大きな投資をするとき、特に借入をして行う場合に、ぜひ考えていただきたい「始めた後」の話をお伝えします。
投資を実行する前にこの視点を持っておくだけでも、後になって資金繰りに苦しむリスクを減らすことができます。
この記事を読むとわかること
・投資の試算で「損益」だけを見てはいけない理由
・経営が苦しくなる原因の一つ「過大投資」とは何か
・新規投資の前に「始めた後」までシミュレーションする大切さ
「これが解決策だ」と考えていた経営者さんとの試算
先日、ある経営相談先でのことです。
その経営者さんには、新しい事業に取り組みたいという明確な考えがありました。やりたいことがはっきりしていて、なぜそれに取り組む必要があるのかという筋道もしっかりしています。
現状のまま続けていては、いずれ経営が厳しくなる。だからこそ、新しい展開が必要だ。その認識については、私もその通りだと感じました。
ご本人は「これが今の状況を打開する解決策だ」と考えておられました。ただ、実行に移す前に、一度ご相談いただくことができたのです。
そこで私から、「その考えに沿って、もう少し具体的に先のことまで見てみましょう」とご提案しました。
一緒に調べていくと、新しい事業を始めるにはかなりの投資が必要で、借入額も大きくなる見込みであることが分かってきました。
続いて、その投資によってどのくらいの収益が見込めるのかを試算しました。すると、収益は確かに改善する。事業としても黒字になる可能性が高い。そこまでは数字で確認できました。
問題は、その先です。
借入をして事業を始めれば、当然、その後は借入金の返済が発生します。
そこで返済まで含めて数字を追っていくと、新たに生まれる収益よりも返済負担の方が大きくなり、事業は黒字でも、資金繰りが苦しくなる可能性が見えてきたのです。
現状のまま続けてもジリ貧になる。しかし、この方向で突破しようとしても、やはり経営は苦しくなるかもしれない。
そのことが数字ではっきり見えたとき、経営者さんは「ああ、そうか」とおっしゃいました。
経営が苦しくなる原因の一つ、「過大投資」
実際に経営相談を受けていると、「経営が苦しい」「お金が足りない」という状態になった原因をたどっていったとき、過去の過大投資に行き着くことがあります。
借入をして投資をした。その結果、売上や利益は増えている。それなのに、借入金の返済負担が大きく、手元にお金が残らない。
そうした状況で苦しい思いをされている経営者の方は、決して珍しくありません。
「収益は上がっているのに、なぜ経営は楽にならないのか」
経営者にとっては、なかなか納得しづらい状況だと思います。頑張って売上を伸ばし、利益も出している。それなのに、なぜかお金が減っていく。
その原因の一つが、投資に伴う借入金の返済負担です。
利益が出ることと、お金が手元に残ることは、必ずしも同じではありません。だからこそ、新しい投資を考えるときには、収益だけでなく、その後の返済まで含めて考える必要があります。
借りる前に気づけたことが、何よりの収穫
今回のご相談は、結果として良かったと思っています。
投資を実行する前に、「このまま進むと、かえって経営が苦しくなるかもしれない」と気づくことができたからです。
その経営者さんとは、いったんこの計画を見直し、別の方向性を検討していくことになりました。
もちろん、もう一度一から考え直すのは大変です。せっかく描いた計画を見直すことは、気持ちの面でも簡単なことではありません。
それでも、大きな借入をして投資をした後に過大投資だったと気づき、何年にもわたってその返済に苦しむことを考えれば、実行する前の段階で立ち止まれたことには大きな意味があります。
「始めるまで」ではなく「始めた後」をシミュレーションする
新しい事業に挑戦しようとするとき、経営者の意識はどうしても「事業を始めること」に向きがちです。
投資をして、準備をして、スタートを切る。
そこまでを考えるだけでも決めなければならないことは多く、「始めた後」の資金繰りや借入金の返済まで、十分に意識が向かないこともあります。
だからこそ、借入をして投資をするのであれば、その事業で利益が出るかどうかだけではなく、借りたお金を無理なく返していけるのか。返済した後も、手元に必要なお金が残るのか。
そこまで含めて考えてから、実行することが大切です。
事業を始めるまでではなく、始めた後に会社のお金がどう動くのか。
そこまでシミュレーションしてみることが、新しい挑戦を本当の意味で成功させるための大切な第一歩だと、私は考えています。
当事務所では、投資や借入を判断する前に、数字をもとに一緒にシミュレーションを行う経営相談を承っています。
「この投資をして、本当に返済していけるのか」
「利益は出ても、資金繰りが苦しくならないか」
実行する前に数字で確認しておくことで、より根拠を持って判断することができます。
無料相談はこちらからお申し込みいただけます。
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