2026-07-30

税金も返済もボーナスも必ず来ます。それでも資金繰り表を作らないのですか

この記事を読むとわかること

・資金繰り表は「当てる」ために作るものではないということ
・売上の見通しが立たなくても資金繰り表は作れるということ
・作ったあと、ズレたときに何をすればいいのかということ

資金繰り表を作ってみませんか。そう言われたことはありませんか。作ったほうがいいらしい、という話をどこかで聞いた方もいると思います。

ただ、実際に手をつけている薬局経営者は、そう多くありません。資金繰り表を作らないのは、作り方が分からないという理由が一番多そうです。ただ、それ以上に大きいのは、作ったところで役に立たないだろう、という感覚かもしれません。先のことなんて分からないのに、表にして何になるのか。そう思う経営者の方は多いですし、私も実際言われたことがあります。

こんにちは。中小企業診断士・キャッシュフローコーチの梅崎です。薬局経営の現場を経験したのち、現在は調剤薬局をはじめとする中小企業の経営改善支援を行っています。

たしかに未来は完全には予測できません。資金繰り表も、作った通りにはなるわけではありません。それでも資金繰り表を作ったほうがいい理由があります。

資金繰り表は、先々の未来を当てるためのものではありません。

そもそも資金繰り表は、将来を正確に予測したり当てたりするために作りものではありません。

資金繰り表を作っても、想定したほど売上が上がらないことがあります。予定していなかった経費が出ることもありますし、支払いが思ったより早くなることもあります。見落としていた経費が後から出てくることもあります。先のことですから、ズレて当然です。

そもそも未来を完全に予測するのは無理な話です。ですから、ある程度ズレることを見越したうえで使うのが資金繰り表との付き合い方だと思っています。

問題はその先です。どうせ当たらないからと作らずにいると、分かっていることにさえ備えられなくなります。

税金の納付はいずれ来ます。借入金の返済は毎月あります。ボーナスも夏と冬に必ず出ていきます。これらはいつ、どれくらい出ていくのかが、あらかじめ分かっているお金です。

それなのに資金繰り表がないと、直前になるまで手を打てません。来月がボーナスだったと気づいて慌てる。納税の金額を見て驚く。そういう話は珍しくありません。先が見えていないと、いま手元にあるお金のうち、どこまでが使えるお金なのかが分からないからです。

災害のような突発的なことでお金が足りなくなるのは、ある程度どうしようもない部分があります。でも、出ていくと分かっているお金は違います。ここに備えられるかどうかで、経営の余裕はずいぶん変わります。

まずは3か月先まで、出ていくお金を書き出す

では、何から手をつけるか。まずは支払いです。3か月から6か月くらい先まで、いつ、どれくらいお金が出ていくのかを書き出してみてください。

家賃、給与、社会保険料、借入金の返済。このあたりは毎月ほぼ決まっています。そこに税金の納付やボーナスといった、時期の決まっている大きな支払いを乗せていきます。ここまでなら、それほど手間はかかりません。

12か月先まで作るのも悪くはありませんが、遠くなるほどズレは大きくなります。まずは3か月から6か月で十分です。

売上の確証がなくても、資金繰り表は作れます

資金繰り表を作らない理由として、売上が読めないからというものもあります。どれくらい患者さんが来て、どれくらい売上が立つのか。確証が持てないから作れない、という話です。

その気持ちは分かります。ただ、支払いのほうから見ていくと、話が変わってきます。支払いが見えていれば、いくら売上がないと足りなくなるのかが分かるからです。

たとえば、月々の売上が100万円ないと、いずれ資金が足りなくなるとします。ところが、今月の売上は90万円しか立っていない。このままの状態が続くと足りなくなるとします。

そういう状況がが見えていれば、手が打てます。来月に向けて収益を上げる工夫をするのか、どこかのコストを削るのか。あるいは早めに資金を準備しておくのか。足りなくなると分かっているからこそ、動けるわけです。

売上そのものは、前年の推移をもとに見込んでいけば構いません。去年のこの時期はこれくらいだったから、今年もこのあたりだろう。その程度で作れます。

売上の確証が持てないから作らない。これは、払えるかどうか分からない状態を続けるということです。それはあまりよろしくありませんよね。

売上は、少し厳しめに置く

資金繰り表を作るにあたっては、注意点があります。売上の見込みは、少し厳しめに置いてください。堅い計画を作る、ということです。

都合のいい数字を並べれば、資金繰り表は簡単にきれいになります。どの月も残高がプラスで、何も問題がないように見える。でも現実がそこに届かなければ、意味がありません。

特に金融機関に見せる場合は気をつけたいところです。甘い計画を出して達成できませんでした、が続くと、次からその会社の数字を信用してもらえなくなります。ズレること自体は仕方のないことですが、最初から甘い数字を置くのは話が別です。

ズレたら、数字ではなく資金を手当てする

作ってみると、必ずズレが出ます。そのときにやることは、表の数字を書き換えることではありません。手当てをすることです。

売上が届きそうにないと分かったら、考えることはいくつもあります。どこかのコストを下げるのか。予定していた設備投資を先送りするのか。どれを選ぶかは状況によりますが、選べること自体が大事です。

そして、選ぶには時間が要ります。融資の相談にしても、コストの見直しにしても、今日決めて明日から変わるものではありません。だからこそ、時間が残っているうちに気づけるかどうかが分かれ目になります。

資金繰り表があれば、この判断が早くなります。逆に表がなければ、判断すべきタイミングが来ていること自体に気づけません。

余裕のあるうちに始めてほしい

だからこそ、余裕のあるうちに始めてほしいと思っています。

追い込まれてから作り始めても、打てる手はもう限られています。数字が見えたときには、対応できる時間が残っていなかった。そうなってしまうと、選べるものが少なくなります。

余裕があるうちなら、選択肢が残っています。借りるという判断もできますし、投資の時期をずらすこともできます。早く始めた分だけ、資金繰り表は頼れる道具になってくれます。

おわりに

未来は完全には予測できません。資金繰り表も、その通りにはなりません。それでも作ったほうがいいのは、分かっていることに備えられるようになるからです。

まずは3か月先まで、出ていくお金を書き出すところから始めてみてください。それだけで、この時期は少し厳しいかもしれない、ボーナスの前に手を打っておこう、といったことが見えてきます。

作り方が分からない、一人だとなかなか手が進まない。そういうことがあれば、私たちがお手伝いできます。無料相談も承っていますので、お気軽にご相談ください。

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