薬局に新しい仕組みが定着しない理由|担当者への配慮とトップの関わり方

この記事を読むとわかること
- 新しい仕組みを薬局にスムーズに定着させるために必要なこと
- システムを導入するだけではうまくいかない理由
- 新しい仕組みの定着に向けて、トップがどのように関わるべきか
残業を減らしたい。
従業員の負担を軽くしたい。
ミスを防ぎたい。
薬局経営者の方は、薬局内で起こる課題を解決するために、日々さまざまな取り組みを行っておられると思います。
その一環で、業務の進め方を変えたり、新しいシステムの導入を検討したりすることもありますよね。
ところが、改善を期待して取り組みを始めても、現場では以前のやり方が続き、新しい仕組みがなかなか定着しない。
そんな悲しいことが、時々起こります。
こんにちは、天心堂L&Cコンサルティングの梅崎です。
元薬局経営者で、中小企業診断士・キャッシュフローコーチ・銀行融資診断士として、薬局の資金繰りをご支援しています。
先日、アトル総合医療フェアに、今年も参加してきました。
毎年参加しているので顔なじみの方も多く、お久しぶりの方と話し込んだりして、楽しい時間を過ごせました。
今回、特に情報収集して回ったのが、在庫管理や発注システムです。
というのも、薬局の資金繰りをご支援していて、在庫や発注が資金繰りを大きく左右すると実感しているからです。
私は、人件費と在庫(発注)を、薬局の資金繰りを圧迫しやすい「二大巨頭」だと考えています。
最近も、在庫が膨らみすぎて資金繰りに苦しんでいる薬局さんのご支援に携わりました。
さまざまな改善策をご提案し、無事に金融機関からのご支援獲得にもつなげられました。
その際のメインテーマが、在庫の最適化や発注業務の改善でした。
そこで会場では、専門の方にシステムの特徴を教えていただきました。
それだけでなく、導入までの課題やボトルネックについても伺いました。
私自身も、発注システムの導入・定着に苦労した経験があるからです。
話を聞いて改めて感じたのは、仕組みを入れさえすれば、そのとおりに仕事が進むわけではないということ。
今回はフェアでの話をきっかけに、新しい仕組みを定着させるために心がけたいことを考えてみます。
システムを導入するだけでは、仕組みは定着しない
薬局経営者の方は、業務を効率化し、スタッフさんの負担やミスを減らしたいと常々思っているのではないでしょうか。
少なくとも私はそうでした。
なので、オペレーションを工夫したり、場合によっては設備投資をしたりして、業務改善に取り組みます。
一方で、業務の改善や新たな仕組みの導入は、必ずしも現場のスタッフから歓迎されないことも実感しています。
現場で仕事をするスタッフにとっては、慣れた手順を変え、操作を覚え直す負担が生じるからです。
実際、スタッフが業務の変化に抵抗を感じたり、新しいやり方がなかなか実行されなかったりすることも少なくありません。
私の薬局でも、せっかく入れたシステムや機器が使われなかった経験があります。
ちなみに、こうした話は、薬局以外でもよく耳にします。
先日ご相談に対応した製造業の方も、同じことでお悩みでした。
単に設備やシステムを導入し、「これを使ってね」というだけではうまくいかないというわけです。
変化に対する抵抗だけではありません。
仕事に対する思い入れなどが、新たな仕組みへの障壁になることもあります。
例えば、発注業務を長く担ってきた人には、発注に対する責任感や思い入れがあります。
薬の発注は、欠品を防ぎながら、過剰在庫にも目を光らせなければならない難しい業務です。
薬局の収益や患者満足度にも直結するので、責任を感じたり、使命感を持って取り組んだりする方も多い業務です。
それを変更するとなると、慎重に進める必要があります。
経営者は「仕事が効率化される」「担当者の負担が軽減できる」と考えていても、当の担当者は「覚えることが増える」「自分の役割がなくなる」と受け止めているかもしれません。
実はこれは、私自身が経験したことでもあります。
担当者の使命感や責任感に十分配慮しないまま、オペレーションを変えようとして、担当者から猛反発を食らいました。
たとえ良いシステムや効果的な業務改善であっても、取り組む人の気持ちに配慮しなければ物事は進まないことを実感した出来事でした。
仕組みを変えることは、人の役割や仕事の進め方を変えることでもあります。
使う人がどう受け止め、どう行動するかまで考えて取り組みたいところです。
これまでの担当者に配慮し、次のやりがいを用意する
とはいえ、反発されるからといって、必要な改革を進められないのも問題です。
そこで例えば、こんな対策はどうでしょうか。
まずは、これまでの貢献や努力への感謝を言葉にします。
そして、培ってきた力をこれからも活かしてほしいと伝えます。
そのうえで、新しい役割を用意します。
発注業務と同じくらい重要で、これからの薬局のビジョン実現に不可欠な業務をお願いするのです。
何を任せるかは薬局によって異なりますが、その方が新たなやりがいを感じられる仕事であってほしいですね。
あわせて、その仕事が薬局の将来ビジョンにどう貢献するのかも、きちんと言葉にして伝えます。
目指す姿の実現に必要な仕事だからこそ、あなたに任せたい。
そう伝えることで、「重要な仕事を任されている」という実感を持ってもらいたいのです。
発注業務を例に挙げましたが、どんな業務の改革であれ、担当者が受け入れやすい形で導入したいですね。
トップ自身が変える理由を伝え、定着まで関わる
新しい仕組みを定着させるには、トップ自身の関与が欠かせないと考えています。
ベンダーやコンサルタント、管理職に任せきりにしていては、うまくいかないでしょう。
なぜ今の仕組みを変えるのか。
残業やミスなど、どのような問題を解決したいのか。
これから目指す薬局の姿と、今回の取り組みがどうつながるのか。
こうしたことは、経営者自身の言葉で伝えてほしいと思います。
しかも、一度説明して終わりにせず、折に触れて繰り返し伝えていきましょう。
導入が始まってからも、進み具合や現場の困りごとを確かめる。
うまく進まないところがあれば、一緒に解決策を考える。
定着まで必要に応じて関わることで、経営者がこの取り組みを大事にしているという姿勢も伝わると思います。
現場の意見を取り入れ、仕事の進め方を一緒に変える
トップが関わるときには、現場から意見を出してもらいましょう。
今のやり方で工夫しているところ。
新しい仕組みに変えると困りそうなところ。
どのように進めれば、日々の業務の中で使いやすくなるか。
変更の必要性を共有したうえで、こうした意見に耳を傾け、できるだけ運用に反映していきます。
私自身、発注システムを導入した際には、従来のやり方を一部残し、発注する時間帯も見直しました。
現場の状況に合わせて進め方を変えたことが、定着につながりました。
これまで担当者が積み上げてきた経験や工夫も、新しい運用を考える材料になります。
実際に仕事をする人と一緒に、自局で無理なく続けられる形を整えていきましょう。
一時的な非効率を見込み、壁を越えた先の姿を伝える
新しい仕組みを導入すると、一時的に効率が下がったり、業務が増えたりすることは十分にあり得ます。
操作を覚えたり、確認や調整をしたり、従来の方法と並行して進めたりと、日々の仕事に新たな作業が加わるからです。
手を動かすスタッフにとっては、目の前の負担が気になるかもしれません。
そして、実際に新たな仕組みによって負荷が高くなると、不満を募らせるかもしれません。
その不満が、新しい仕組みの定着を阻む壁になります。
それを避けるためにも、壁を越えた先に何があるのかを伝える必要があります。
新しい業務に慣れた後には、どのような良いことがあるのか。
どんなふうに余裕が生まれるのか。
生まれた余裕を何に使うのか。
新しい役割を通じて、どのように薬局に貢献してもらいたいのか。
導入前に伝えた目的を、日々の仕事の変化と結びつけながら、繰り返し共有していきましょう。
短期間で成果を求めすぎず、現場の負担を確かめながら、その先へ進めるよう支えたいですね。
まとめ
新しい仕組みを検討するときは、担当者の次の役割や、現場と話し合う機会、経営者自身が関わる時間についても、あわせて考えてみてください。
導入から定着までを見据えて準備することが、仕組みを現場で活かすための第一歩になると思います。
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