2026-06-25

資金繰り予定表が作れないなら、実績表から始めてみませんか

「資金繰り表をどう作ったらいいか分からない」
「金融機関から資金繰り表を作ってくださいと言われたけれど、手が動かない」

そんな経営者さん、いらっしゃるんじゃないでしょうか。

そもそも、資金繰り表を作っている薬局はあまり多くありません。日々の業務に追われながら、月次の試算表をなんとなく確認しているくらい、というところが多いと思います。

ただ、資金繰り表があると、経営の安心感や安定感がぐっと変わってきます。先々のお金の動きが見えるようになると、漠然とした不安が減って、前向きに事業のことを考えられるようになるんです。本業にも専念しやすくなって、より付加価値の高い仕事に向き合えるようにもなりますよね。

こんにちは。中小企業診断士・キャッシュフローコーチの梅崎です。薬局経営の現場を経験したのち、現在は調剤薬局をはじめとする中小企業の経営改善支援を行っています。

今回は、ある経営改善先で資金繰り予定表を作ったときのエピソードを共有します。資金繰り表をどう作ったらいいか分からない、という方に役立つ内容があると思います。あわせて、実績を整えていく過程で、意外なものが見えてきた話もお伝えします。

【この記事を読むと分かること】
・資金繰り予定表をいきなり作るのが難しい理由
・資金繰り実績表から作るとスムーズに進められる理由
・個人事業ならではの「資金繰りの見えづらさ」と向き合うヒント

「資金繰り予定表を作りましょう」と提案したけれど

私が経営支援に入るとき、「資金繰り表を作りましょう」と提案します。経営が厳しい時ほど、資金繰りに気を付けなければなりませんし、そのために資金繰り表はとても役立つからです。ただ、ほとんどの場合、「作るのが難しい」と言われます。お金の流れを把握したり予測するのは、想像以上に大変なんですよね。先日支援した先でも、やはり作るのが難しいと悩んでおられました。

ただ、その支援先は計画よりも出費が増えてきていて、資金繰りがきつくなる兆しが見え始めていました。

そもそも経営改善に関わる先は、もともとギリギリで回っているところが多いんです。計画通りに進めば、なんとか持ちこたえられると見ていたのですが、計画より出費が増えてしまうと、当然きつくなります。

「どこがきついのか、これから先どうなるのか」をはっきりさせるために、私からは「資金繰り予定表を作りましょう」と提案しました。

ところが、いざ作ろうとすると、売上の入金タイミング、仕入れの支払い、固定費、借入返済、税金など、いろんなお金の動きが絡んでくるので、上手く作れませんでした。経営者さんも何度か手をつけてくれたのですが、なかなかうまく形にならず・・・。

まずは資金繰り実績表から作ってみよう

そこで、資金繰り予定表の前に過去の実績を整理してみませんか、と提案しました。

実績なら、すでに起こったことを並べていく作業になるので、予定表よりも手がつけやすいんですよね。

資金繰り実績表を作るだけなら、税理士さんに依頼して出してもらうこともできます。でも、月ごとに細かく見ていくと、資金繰り実績表としては少しずれていることも多いのです。1年の最後、決算期にまとめて修正していることも多いので、会計ソフトから出力しただけの資金繰り実績表は、月次で見ると変な動きをしていることもあるんです。

そこを一つひとつ確認しながら、資金繰り実績表として整えていきました。

資金繰り実績表を作ったら、いろんなことが見えてきた

資金繰り実績表ができあがると、その事業所のお金の使い方の癖が見えてきます。

「こういうところにお金を使っているんだな」
「こんなところでまとまった支払いがあるんだな」
「この経費、思ったよりウェイトが大きいんだな」

そんな気づきがいくつも出てきました。

これを土台にすると、資金繰り予定表が作りやすくなります。過去にどう動いてきたかが分かっているので、これから先の予測にも現実味が出てくるんですよね。経営者さんからも「すごく作りやすくなった」と喜んでいただけました。

個人事業ならではの「見えづらさ」も見えてきた

資金繰り実績表を作る中で、ちょっとした気づきもいくつかありました。

たとえば、経営者の取り分が少し多めだったこと。それから、気をつけたい経費の使い方があったこと。こうしたことは、月次の試算表をぱっと見ているだけでは、なかなか分からないこともあります。

特に個人事業の場合、経営者の取り分は試算表の項目に出てきません。法人なら役員報酬として明確に金額が出ますが、個人事業はそうではないんです。損益計算書に出てこないので、経営者がいくら使っているのかが見えづらいんですよね。

これは個人事業の経営者さんに共通する話です。

個人と事業のお金が混ざっていませんか

お金の流れを見づらくしてしまう動きは他にもあります。

たとえば、会社の資金が足りないときに、経営者個人のお金を会社に入れることがあります。逆に、自分の生活費が足りなくなったら、事業の口座からお金を引き出すこともあります。こうしたやり取りが頻繁に発生しているケースは、個人事業主でも法人でも本当に多いんです。

両方ギリギリで回っているから、必要に応じて行き来させているわけですよね。気持ちはとても分かります。短期的にはやむを得ない場面もあります。

ただ、これを続けていると、自分の財布と会社の財布の境目がだんだん曖昧になっていきます。お金の出入りの実体が把握しにくくなって、結局どこからどこにお金が動いているのかが見えづらくなっていくんです。

そうなると、資金繰りの予定もとても立てづらくなります。

できるだけ早く改善したいところですよね。

生活費を見直す、事業のコストダウンを進める。やれることは少しずつでも進めて、個人のお金のやり取りに頼らなくても資金が回る状態を、なるべく早めに作りたいと思います。

このような課題も、資金繰り実績表を作る中で見えてきます。

資金繰り予定表より先に、資金繰り実績表から

資金繰り予定表をいきなり作ろうとすると、手が止まりがちです。

予定を立てるには「これから何が起きるか」を考える必要がありますが、過去のお金の動きが整理できていないと、その予測も曖昧になってしまいます。

ですから、まず実績から整理してみることをおすすめします。

過去を整理する中で、自社のお金の癖や、見えづらかった出入りが見えてきます。それを土台にすれば、現実的な資金繰り予定表が組みやすくなります。お金の使い方の見直しポイントも、合わせて見つかるかもしれません。

まずは一歩、踏み出してみませんか

「資金繰り表をどう作ったらいいか分からない」
「金融機関に提出を求められたけれど、手が動かない」

そんなときは、まず実績の整理から始めてみてください。それだけでも、ご自身の事業のお金の流れがぐっと見えやすくなります。

一人で作るのが難しいと感じたら、ぜひ一度ご相談ください。Excelで作る具体的な進め方も含めて、一緒に整理していきます。

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