試算表を毎月見るだけで変わること――薬局経営を安定させる3つのヒント

「試算表、毎月届いているけど……正直、ちゃんと見ていない」
そんな薬局の経営者さん、実は多いんです。数字のことはよく分からないし、とっつきにくいし、ついつい書類棚に入れたまま――。その気持ち、よく分かります。でも、税理士さんから届いたあの表、実はもったいない使い方をしているかもしれません。
こんにちは。中小企業診断士・キャッシュフローコーチの梅崎です。薬局経営の現場を経験したのち、現在は調剤薬局をはじめとする中小企業の経営改善支援を行っています。
この記事を読み終えたころには「試算表って、こんなふうに使えばいいんだ」と思っていただけるはずです。難しい分析の話ではありません。毎月ちょっと見るだけで、経営の安定感がぐっと変わってくる――その理由をお伝えします。
毎月届いている試算表、どうしていますか?
毎月、税理士さんから「今月の経営状況はこうですよ」という感じで届いている、あの表のことです。月々の売上と経費、利益や現金・売掛金などの資産の状況ががまとめられた書類――皆さんも手元に届いているのではないでしょうか。
受け取ったとき、どうしていますか?「ふーん」と眺めてそのまま棚へ。あるいは封も開けずに積んでいる、なんてことはありませんか?
経営改善の仕事をしていて実感するのは、この試算表をきちんとチェックしていない経営者さんが、本当に多いということです。棚にしまって見もしないなんて、とてもとてももったいない。試算表には、安定した経営を続けるためのヒントがたくさん詰まっています。
そもそも試算表って何?
「試算表をちゃんと見よう」とお伝えする前に、まず「試算表とは何か」を簡単に整理しておきましょう。
試算表というのは、「今の会社の成績表を月ごとにまとめた表」のようなものです。もともとは決算前に仕訳が正しくできているか確認するための集計表ですが、毎月作成することが多いため、現時点での経営状況を把握するのにとても役立ちます。年に1回の決算書とは違い、「直近の経営状態」を映してくれる、いわばリアルタイムの成績表です。
調剤薬局経営者が試算表を毎月チェックすべき3つの理由
理由① 経営状況の変化に早く気づき、手を打てる
一つ目は、経営状況の変化にいち早く気づけるということです。
企業の経営状況を把握できる資料として、まず思い浮かぶのは決算書ですよね。ただ、決算は年に1回だけ。決算書しか見ていないと、経営状況をしっかり把握できるのも年1回だけになってしまいます。
もちろん、売上は適宜確認していると思います。でも、売上の状況だけでは、経営の良し悪しを判断することはできません。売上が好調でも、利益やキャッシュフローが少なければ、安定した経営は難しいからです。
毎月試算表を見ていると、こんなことに気づくことがあります。「じわじわと粗利率が下がっているな」「特定の経費がずいぶん増えているけど、なんでだろう?」「お金が少し減ってきたけど、支払いは大丈夫だろうか」――。悪い兆しに早く気づければ、早めに手を打てますよね。結果として、経営が安定することにつながります。
そしてもう一つ、良いことがあります。状況が悪くなっていれば「なぜだろう?」と考えます。逆に良くなっていれば「何が良かったんだろう?」と考えます。その積み重ねが、自然にPDCAを回す習慣につながっていきます。意識しなくても改善のサイクルが動き出す。それが、試算表を毎月見ることの、じわじわと効いてくる効果だと感じています。
理由② 継続して見ることで、先々の予測がしやすくなる
毎月試算表を見ていると、だんだん数字の感覚が身についてきます。
パッと試算表を見ただけでも、「このまま行くと、今年の決算はこれくらいに着地しそうだな」とか、「このままだと〇月頃の資金がきつくなりそうだな。今から手を打っておこうか」といったイメージが持てるようになってくるんです。
先々の見通しが立てられると、精神的にも楽になりますよね。課題がありそうな場合でも、先回りで手が打てればピンチを避けられます。試算表を習慣的に見ることは、経営者の「心の余裕」にもつながっていると思っています。
理由③ 金融機関との信頼関係を築きやすくなる
日ごろから試算表をチェックし、業績や経営状況の変化をつかんでいれば、金融機関との信頼関係も作りやすくなります。
毎月試算表を確認している薬局と、年に1回の決算のときにしか経営状況を把握していない薬局とでは、金融機関からの見え方が変わってきます。
数字を毎月追っている経営者は、自分の言葉で語れるんです。「今の売上はこの水準で、粗利がじわじわ下がってきているので、ここに手を打つつもりです」――そういう話ができる経営者に対して、金融機関は「この人はちゃんと自分の会社を見ているな」という安心感を持ちます。信頼関係は、日々の積み重ねから生まれていくものですよね。数字がしっかり頭に入っているというのもポイントが高いですよね。
試算表、どこを見ればいいの?
「試算表を見ようとは思うけど、どこから手をつければいいか分からない」という声をよく聞きます。最初からすべてを理解しようとしなくて大丈夫です。大切なのは継続すること。まずはこの視点から眺めてみませんか。
まず、毎月の数字が横並びで比較できる形になっているかどうかを見てみましょう。売上、原価、売上総利益、人件費などの主要な科目が月ごとに並んでいると、変化がとても見やすくなります。もしそうなっていなければ、税理士さんに「毎月の数字が横並びで見られる形にしてほしい」とお願いしてみるのもいい方法です。
見るときのポイントはシンプルです。「前月と比べて大きく変わっている数字はないか」「感覚的に想像していた数字とズレていないか」――この2点を意識するだけでも、経営の変化に気づく力は大きく変わってきます。
試算表チェックの目的は、経営の変化に早く気づくことです。「数字の動きに違和感がないか」を確かめる習慣が、安定経営の土台になっていきます。
慣れてきたら、さらに活用を
毎月試算表をチェックすることで、経営の変化に早く気づけるようになります。先々の見通しが立てやすくなります。そして、金融機関との信頼関係も築きやすくなります。
試算表は、安定した経営を続けるための大切な道具です。難しく考えなくていい。まずは手に取って、数字の動きを眺めることから始めてみてください。
「試算表を見てみたいけれど、どこから手をつければいいか分からない」「自分の薬局の数字を一緒に確認してほしい」――そんな方は、ぜひ一度、無料相談をご活用ください。数字が苦手でも大丈夫です。一緒に考えましょう。
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