後継者にお金の流れを伝えていますか?薬局の事業承継で見落としがちな視点

- 後継者に財務知識が必要な理由
- お金のブロックパズルとは何か
- 事業承継前に後継者と取り組めること
後継者さんに決算書って見せていますか?
会社の数字について、親子で話す機会って持てていますか?
こんにちは。
中小企業診断士・キャッシュフローコーチの梅崎です。
薬局経営の現場を経験したのち、現在は調剤薬局をはじめとする中小企業の経営改善支援を行っています。
公的機関の依頼で、親族内承継(親から子への事業の引継ぎ)も年に数件、ご相談対応しています。
その時、多くの方がこんな風におっしゃいます。
「後継者には、決算書を見せたことないですね~」
薬局経営者の方からも、同じようなお話しを聞くことがあります。
「子どもに継がせたいけど、数字のことを何も教えてこなかった」
「借り入れがあるから、なかなか見せづらくて」
「いざ継がせようとしたら、お金の話を全然分かっていなかった」
「自分も経営数字に疎くて、教えるほどの知識はないんですよ」
なんて話は、どこの企業でも出てきます。
これは仕方ないことなのかもしれません。
でも、経営を引き継ぐということは、会社のお金を動かす責任を引き継ぐということでもあります。会社の数字のことはしっかり把握しておいてほしいですよね。
なぜ、財務のことを後継者に伝えられないままになってしまうのか
なぜ、財務のことを後継者に伝えられないままになってしまうのでしょうか。
理由はいくつかあると思います。経営状態を見せることへの抵抗感がある場合は少なくありません。まだ継ぐかどうかをはっきり決めていない場合、決算書を見せる気にならないし、後継者も見る気になりにくいものです。
技術や接客については厳しく指導できても、お金の話になると何となく後回しになってしまうのもよくあることです。
何より、財務の話や将来のビジョンの食い違いが表面化して気まずい雰囲気になることを避けたい、という気持ちも働きます。
実は私自身も、実家の薬局の事業承継をある程度推し進めた経験があります。
父から兄への承継でしたが、私が関与するまで財務の話や将来ビジョンの話なんてほとんどしていませんでしたから。
現経営者と後継者の間にある、その話しづらい雰囲気というのは、他人事ではありません。だからこそ、早めに動いておいてほしいと思うのです。
後継者に知っておいてほしい、会社のお金の流れ
後継者には、やはり決算書をある程度見られるようになっておいてほしいですよね。経営字の意味を理解できるようになっていてほしい。経営者であれば、多くの方がそう思っているのではないでしょうか。
普通に働いていれば、毎月お給料が口座に振り込まれてきます。でも経営者はそうではありません。売上を生むための仕事をして、そこから粗利を生み出す。粗利からさまざまな経費を払って、残ったもので税金を払い、返済もする。将来に向けた投資も必要です。
働けば当たり前にお給料がもらえる、という感覚とはまったく違います。
決算書も見たことがない、会社のお金の流れも考えたことがない。
その状態で事業を引き継がせるのは不安だ、というのは当然だと思います。
お金のブロックパズルとは
そこで私がよく使うのが、「お金のブロックパズル」というフレームワークです。渡したcg比キャッシュフローコーチが活用するツールで、会社のお金の流れをたった1枚の図で「見える化」するものです。
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図の考え方はシンプルです。売上から薬の仕入れにかかった費用を引いた残りを「粗利」といいます。薬局は売上の6割以上が薬の仕入れにあたる業種なので、この粗利をきちんと把握することがとても大切です。
そして粗利から経費を引いた残りが利益になります。経費は大きく「人件費」と「その他の経費」に分けられます。薬局は粗利の6割以上が人件費にあたる業種です。スタッフの給与等が大きな比重を占めていることも理解しておきたいですよね。
お金がどう入ってきて、どこで出て行き、いくら残るのか。これをイメージしやすくしたのが、お金のブロックパズルです。2割程度の財務の知識で、8割がたの経営判断に使えます。
この図を理解すると、たとえばこんなことが分かるようになります。
これから賃上げが進んでいくとしたら、人件費はどれくらい増えるのか。薬剤師や事務スタッフの雇用を確保し続けるために、どれだけの売上が必要なのか。新しい調剤機器を導入することが、本当に経営に貢献できるのか。2年に1度の調剤報酬改定で収益にどんな影響が出るのか、うまく対応できた場合とできなかった場合でどれほど違いが生まれるのか。
経営者として下すべき決断を、適切に行うことができるようになります。
このように、経営者としての決断を迫られる機会は頻繁に訪れますよね。そのたびに「何となく」や「勘」に頼るのではなく、根拠のある経営判断を下せるようになってほしいですよね。それができるようになるのが、お金のブロックパズルです。
1時間でイメージが変わる
薬局業界は今、大きな転換期を迎えています。調剤報酬改定のたびに収益環境は厳しくなり、賃上げへの対応も待ったなしです。こういう時代だからこそ、経営を引き継ぐ後継者が「会社のお金の流れ」を早い段階で把握しておくことが、これまで以上に大切になっています。
右肩上がりの時代であれば、多少どんぶり勘定でも何とかなったかもしれません。でも今は違います。数字を見ながら判断できる経営者と、そうでない経営者とでは、5年後、10年後の薬局の姿がまったく違ってくる可能性があります。
実際に事業承継の相談の場でこの図を使って1時間ほど話すと、後継者の方から「こういうところを見ていかなきゃいけないんですね」という言葉が出てくることが多いです。
決算書を一度も見たことがなかった方でも、お金のブロックパズルを通じて会社のお金の流れを図で見ることで、「売上を上げるためにはどうするか」「経費のどこを見直せばいいか」「いくら残せれば経営が安定するのか」という視点が生まれてきます。
もちろん、1時間でそのすべてを完全に理解できるわけではありません。ただ、「自分が経営者として見ていかなければならないことが、何となくイメージできた」という感覚を持ってもらえるだけで、その後の経営への向き合い方はずいぶん変わります。
後継者に財務を一から教えるのは難しい、と感じていませんか。でも、決算書を読む前の段階として、まずお金の流れの全体像をイメージしてもらうだけでいい。それだけで、事業を引き継いだ後にスムーズに経営を続けられる可能性はぐっと高まります。
まずは一緒に「見える化」するところから
後継者が決算書を見たことがない。財務のことを何も教えてこなかった。そういう不安を抱えたまま、事業承継の日を迎えようとしていませんか。
まずお金の流れを「見える化」するところから始めてみてください。難しい会計の知識は後からでも身につけられます。でも、会社のお金がどう動いているかという大きなイメージは、早いうちに持っておくほど、経営者としての判断に活きてきます。
私たち天心堂L&Cコンサルティングでは、お金のブロックパズルを使った「脱ドンブリ経営セミナー」を1対1のオンライン形式で無料開催しています。他社の方が同席しないので、自社の数字を交えながら気兼ねなく話していただけます。
事業承継を控えている方、後継者の財務知識に不安を感じている方、ぜひ一度ご相談ください。
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