2026-03-26

業務の棚卸から始める労働分配率の改善

調剤薬局の労働分配率、実はこれだけかかっています

2026年の調剤報酬改訂の目玉のひとつが、賃上げへの対応でしたね。
調剤薬局はもともと人件費の負担が重い業種です。近年の賃上げの進展は、経営に大きな影響を与えました。

報酬改定で賃上げの原資が確保できたとはいえ、人件費を適切な水準に保つことは引き続き重要なテーマです。今回は、その具体的な方法をご紹介します。

こんにちは。中小企業診断士でキャッシュフローコーチ®の梅崎です。私自身も薬局経営を経験しており、現在は調剤薬局の経営支援や、さまざまな業種の経営改善をサポートしています。

この記事を読むとわかること
・調剤薬局の労働分配率の実態
・人件費を適切に保つための3つのアプローチ
・業務の棚卸を実践した際の具体的な変化

業種別審査辞典によると、調剤薬局の労働分配率(粗利を人件費で割った比率)は60%半ば〜後半。つまり、生み出した利益の6〜7割が、役員報酬を含む人件費に使われているわけです。

人手不足と賃上げがこのまま進めば、この負担はさらに大きくなっていきます。だからこそ、人件費を適切な水準に保つことは、経営の根幹に関わる問題なのです。

では、どうすれば労働分配率を適正な水準に保てるのでしょうか。私がご支援の現場で実践してきた3つのアプローチをご紹介します。

1. 仕事の割り振りを見直す

まず着目したいのが、誰がどの仕事をしているか、という点です。

時給の高い薬剤師さんが、時給に見合わない仕事をしているとしたら、その割り振りを変えるだけで人件費は改善できます。

分かりやすい例が「0402通知」です。以前はピッキングや一包化後の錠数チェックも薬剤師さんが担っていましたが、通知後は調剤補助さんが実施するようになった薬局も多いですよね。「薬剤師でなければならない仕事」と「薬剤師でなくても良い仕事」を整理し、割り振りを変えた好例です。給与だけでなく、社会保険料などの会社負担分も変わりますから、積み重なれば大きな改善になります。

では、どうやって見直すか。おすすめは業務の棚卸です。

毎日のルーチンワーク、週次でやっていること、月次でやっていること——こうした視点で書き出していくと、「これは他の人に任せても良いのでは?」という仕事が意外と見えてきます。

先日、介護関係の施設の支援に入ったとき、社長が日々の業務に忙殺されていて、収益を上げるための活動がほとんどできていませんでした。棚卸をしてみると、管理者に任せられる業務、一般職員で対応できる業務、そもそもやらなくていい業務がいくつも出てきました。社長自身が「これは自分でなければできない」と思い込んでいた仕事の中にも、実は他の人に任せられるものが含まれていたんです。割り振りを見直した結果、社長が営業活動に使える時間を確保できました。

卸売業の支援でも同じことが起きていました。社長が多岐にわたる業務を抱え込んでいて、本来注力すべき仕事に手が回っていない状態でした。重要度の低い仕事を外注に出すことで社長の時間をつくり、価値を生む仕事に専念してもらった結果、長年赤字続きだった会社が黒字転換しました。

人件費の総額が変わらなくても、売上や粗利が増えれば労働分配率は下がります。まずは業務の棚卸から始めてみませんか?

2. 体制そのものを見直す

以前ご相談を受けた薬局さんは、労働分配率がかなり高い水準になっていました。実態を確認していくと、何をしているか分からない方の給与が出ていたり、仕事内容と給与が見合っていないケースが複数ありました。

利益に見合わない人件費を見直すのは、場合によっては避けられない判断です。すぐにリストラはできなくても、退職者が出たときに補充をしない、という選択肢はあります。

また、重要でない仕事に時間を割いているなら、より利益につながる仕事に取り組んでもらうという改善も可能です。先ほどご紹介した介護施設の支援では、社長の業務だけでなく管理者の業務も見直しました。重要度の低い業務を減らし、空いた時間で営業活動に取り組んでもらったところ、施設全体の収益改善につながりました。

3. 無駄な時間を減らす

薬局には、忙しい時間とそうでない時間がハッキリありますよね。バタバタするピーク帯がある一方で、やることが少なくて手持ち無沙汰になる時間帯もある。そういった空白の時間を減らせれば、人件費は改善できます。

もっとも、これが一番難しい。私自身も薬局経営のときに、あれこれ試みました。急ぎでない事務作業は翌日に回してもらうなど、残業を抑える工夫はできました。ただ、空白時間そのものを減らすのはなかなかうまくいきませんでした。

特に苦労したのが、ピークタイムに合わせた人員配置です。忙しい時間帯に人を厚く配置し、それ以外は薄くしようとしたのですが、スタッフそれぞれの希望する働き方と完全に一致させることはできません。結果として、どうしても手が空く時間が生まれてしまいます。しかも「今日は予想より暇だから早く帰っていいよ」というわけにもいかない。雇用している以上、来てもらった分の人件費は発生するわけです。

この問題に完全な答えを出せないまま薬局経営を終えた、というのが正直なところです。

ただ最近は、オンライン服薬指導の仕組みを使って、店舗をまたいで人員を柔軟に調整している薬局さんも出てきています。

たとえば、A店は午前が忙しく、B店は午後がピークだとします。従来はそれぞれのピークに合わせて薬剤師さんを確保する必要がありましたが、オンラインで服薬指導できる仕組みがあれば、午前はA店、午後はB店、という動き方が可能になります。私が経営していた頃には思いつかなかった発想で、こういう仕組みが使えれば、あの頃の悩みも少しは解消できたかもしれないと思います。まだ新しい取り組みですが、課題を解決する手段として注目しています。

DXという観点では、処方箋受付やレセコン入力の自動化、セルフレジによる会計の省力化なども進んでいます。事務スタッフが調剤補助に専念し、薬剤師さんは対人業務に専念できる体制をつくろうという動きです。AIの薬歴への実装が思ったより早く進んだように、こちらも意外と早く普及するかもしれません。

適正な労働分配率は、調剤薬局の健全経営にとって重要な視点です。もし労働分配率をチェックしたことがなければ、まず確認するところから始めましょう。難しいと感じるなら、サポートもできますので遠慮なく無料相談してくださいね!

薬局経営 無料相談受付中!

お金に関する知識や判断に不安を感じているなら、
無料診断で今の経営状況を一緒に見直しませんか?
不安を解消し、安心して地域医療に取り組みましょう。

お申し込みは今すぐこちらから

今すぐ無料相談に申し込む

薬局経営 無料相談受付中!

お金に関する知識や判断に不安を感じているなら、
無料診断で今の経営状況を一緒に見直しませんか?
不安を解消し、安心して地域医療に取り組みましょう。

お申し込みは今すぐこちらから

今すぐ無料相談に申し込む

前後の記事

コメントを書くにはログインが必要です

お問い合わせ