2026-02-09

ビジョンの大切さを改めて実感した出来事

先日、調剤薬局さんからスポットでご相談をいただきました。
その時のご相談対応を通じて、
「やっぱりビジョンって大切だな」
「ビジョンが明確じゃないと、事業をうまく運営するのは難しいな」

と感じたので、シェアしたいと思います。

調剤薬局とビジョン

さて、その薬局さんは年々処方せん枚数が減少し、ついに赤字に転落してしまったとのこと。

詳しい事情は省きますが、
・経営者さんは非薬剤師で、薬剤師を雇用して薬局を運営している
・一人薬剤師だから在宅に本格的に取り組むのが難しい
・地域支援体制加算の算定も現時点では困難

という、なかなかハードな状況でした。
(※このエピソードは「地域支援体制加算」だったころの話です)

社長は薬剤師ではないため、「社長が現場に入って何とかする」ということもできず、打開策が見えにくい状況でした。
十分な資金余力があれば打てる手はあるものの、今回はその話は割愛。
で、なぜ、ここまで厳しい状況になってしまったのかを考えてみました。

薬局をどうしたいのか、ビジョンを明確にしてこなかった

話を整理していく中で強く感じたのは
「経営の軸となるビジョンを明確に描く機会がなかった」
のだろうな、という点です。

以前から赤字が続いていたため、当面の目標は当然「黒字転換」。
そのための手段としては、
●コストを下げる
●在宅などで応需枚数を増やす
●加算を算定して粗利を高める
といった方法が考えられますよね。

実際、コストカットにはすでに取り組んできたそうです。
ただ、小さい薬局なので、コストカットの効果も限定的。
一人薬剤師体制では在宅を大きく伸ばすのも現実的ではない。
そうすると、残る有力な選択肢は「加算算定」になります。
そこで地域支援体制加算を試算してみると、微赤程度までは回復することが分かりました。
最初の取組として、地域支援体制加算を算定できるように取り組んでみては?とお尋ねしたところ、そこにも壁があることが分かりました。

ビジョンが明確でないと、場当たり的な薬局経営になりやすい

どんな壁があったのかというと、保険薬剤師の経験の壁。
一人薬剤師の先生が、保険薬剤師として経験年数を満たしていなかったのです。


要件を満たすには、数年待つ必要があるんです。
今すぐにはどうにもならない、と。
赤字で苦しんでいる現状、数年間打開できないのはかなり厳しいでしょう。

対策をとるとすれば、一時的に赤字が拡大するとしても、要件を満たす薬剤師さんを雇用し、入れ替えることが考えられます。
しかし、一人薬剤師として奮闘してくれている先生に対し、あまりに冷たい選択になりますよね。
複数の薬剤師さんを雇用して、近くの施設さんに営業をかけて在宅を提供するのも一策かもしれません。
その場合は、社長は薬局経営に専念し、営業活動に注力してもらうことになるでしょう。

他には、資金調達をして数年間の赤字を耐え抜く方法もあります。
ただし一人薬剤師の先生は高齢だったため、耐え抜いたころには退職の可能性もあります。
それに赤字の補填が大きくなるので、それはそれで苦しい選択です。

いずれにせよ、勇気の必要な決断を迫られることになると思います。

ビジョンがあるから、先回りで手を打つことができる

その薬局の当面の目標は、もちろん「黒字転換し、薬局を存続させること」。
もしその実現手段として「加算算定」が最重要であるなら、
加算算定ができる人材をどう確保するか、という検討が、早い段階で必要だったんですよね。
しかし、
●いつまでに
●どの状態まで経営を立て直したいのか
●そのために何が必須条件なのか
といったビジョンや実現方法を整理しないまま経営を続けてきたことで、結果として今の厳しい局面を迎えてしまったように感じました。

逆に言えば、
「いつまでに、どんな薬局にしたいのか」
「その実現に必要な条件は何か」
を早い段階で整理できていれば、取れる手はもっとあったかもしれません。
今回の薬局さんも、決して「もう手詰まり」というわけではありません。

先ほどお話ししたようにリカバリーのために打てる施策はいくつか考えられます。
ただし、それには相応の労力やコスト、そして覚悟が必要になります。
このご相談を通じて、改めて
「ビジョンは理想論ではなく、経営判断の精度を高めるヒントになる」
と強く実感しました。
ビジョンがあると、打ち手の選び方が変わるということ。
今後の経営を考える上でヒントになれば幸いです。

簡単にビジョン(薬局の将来像)を明確にするなら

ビジョンを明確にすることで、何をすべきかもおのずと明らかになります。
ビジョンの作り方はいろいろな方法がありますが、簡単な方法をご紹介したいと思います。

それはビジョンシートを作ること。
横軸は年数。
1年後、2年後、3年後・・・のように年数を入れます。

縦軸はカテゴリ。
業績・エリア・スタッフ数・人件費・加算など、実現したい項目を並べます。

縦軸のカテゴリごとに、何年目には業績はこれくらいを目指す、のような形で埋めていきます。
全部埋まっていなくても大丈夫。
時々見返して、その時思い浮かんだものを追加しましょう。
後は1年ごとに見直しながら、その年を起点に作り直していきます。

そうすることで、簡単にやりたいことを明確にできます。
1年ごとに更新することで、常に成長を目指すことも可能です。

もし一人で書き出すのが難しい場合は、対話をしながら書くとやりやすいですよ。
上手に質問してくれる人に話を聞いてもらいながら書くと、なおさらラクチンです。
自分で言葉を紡ぎだすのは大変ですが、質問されたことに答えるのは楽ですからね。

はっきりしたビジョンがなかったり、上手く言語化できていないときは試してみてください。
もし、誰かに聞いてもらいながら進めたいけど、適切な人が思い浮かばないときは、当事務所の無料相談を活用してみてくださいね!

ビジョンはあなたのビジネスの安定と成長に欠かせません。
ぜひ明確に言語化してみてくださいね!

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