金融機関との良好な関係作りも薬局経営者の大切な仕事

今年も経営診断や経営改善計画書の作成支援のお仕事をご依頼いただいています。
こういう仕事をしていると、本当に様々な経営者さんとお会いします。
前向きに取り組んでいる方もいれば、慎重に事業を進める方もいます。
経営者の考え方やスタンスは、本当に多様だな、日々感じています。
その中で、時々お見掛けするのが「情報開示にとても慎重なタイプ」です。
コンサルタントに対しても、金融機関に対しても、必要最小限しか話さない。
「余計なことは言わない」と考えているケースです。
なかには必要なこともお話にならないケースもあります。
情報開示に慎重なことが悪いというわけではありません。
ただ、結果として金融機関からの支援を受けにくくなってしまうかもしれない、という点は気になるところです。
どうやって稼いでいるのか、全く分からない薬局
以前、ある薬局さんのご支援に入ったときのこと。
決算書を見ると、毎年大きな赤字が続いていて、会社単体では資金が回らない状態でした。
なのに事業は継続している。
とても不思議な経営状態です。
金融機関も「なんで長く経営できているのか、実態が分からない」と首をひねる始末。
赤字なのに経営できているのは、どこからかお金の都合をつけているからなのですが、それが良く分からない。
その会社には様々な関係先があり、多くの資金のやり取りがあるうえ、役員貸付金もたくさんあるので、お金の流れがつかめない状態でした。
ただ、「これ以上は資金繰りのめどがつかない」ということでご支援の依頼があったのですが、さすがに実態が分からなさ過ぎて・・・
この状態で、追加融資を検討するとなると、金融機関としては慎重にならざるを得ないですよね。
「どこで」「何に」「どのように」お金が使われているのか分からなければ、判断できません。
実態を整理するために資料のご提出をお願いしたのですが、ほとんど提出されず。
分かる範囲で情報をまとめ、資料を作成して、経営者から金融機関に説明していただくための場も設けましたが、直前にドタキャン。
その時点で金融機関の支援を受けるのは難しい状況になりました。
経営状況は悪くないのに、理解を得られない経営者
先ほどの紹介した薬局さんはかなりひどい事例ではありますが、時々出会うタイプでもあります。
資金繰りの相談ではなく、事業承継のご相談でお伺いした薬局さんで、一切情報開示をしないタイプの経営者さんにお会いしたことがあります。
会社の経営状況が全く分からないのでアドバイスしようがなかったので、一般的な内容だけお伝えしてきました。
他にも数億円の借入がありながら、その使い道が全く見えない事業所もありました。
売上は上がってきているようでしたが、お金の使い道に疑問がありすぎという状態。
そのような事業所は金融機関は支援できないと思います。
また、こんなケースもありました。
返済負担が重くなりつつある会社の経営者さん。
「いざとなれば個人資産を会社に貸し付けて、それで資金を賄うから大丈夫」とお話しされていました。
その考え方自体は理解できます。
ただ、第三者が判断する場面では、「本当に余力があるか」「どの程度あるか」を確認せざるを得ません。
これは疑っているというわけではなく、判断に必要な材料を揃えたいのです。
結局、個人資産は教えていただけなかったのですが、大幅なコストカットで対応する計画を立てることになりました。
この会社は経営状態は悪くない、というか同業他社と比べると優秀な会社。
でも、情報開示に慎重すぎたために金融機関とちょっと行き違いが生じてしまった例でした。
金融機関との信頼関係が、安定した薬局経営につながる
誤解してほしくないのですが、経営状況を何もかも、包み隠さず開示すべきだと言いたいわけではありません。
ただ、
●お金の流れが整理されている
●社外流出などの不安がない
●返済についての道筋が見えている
など、相手が安心できるだけの情報は必要です。
貸したお金がどう使われるか、ちゃんと返済してもらえるか疑問が残る状態だと、金融機関も前向きな判断がしづらいですよね。
金融機関から支援してもらいやすい状態をつくるのも、経営者の大切な役割です。
普段から良好な関係を作っておけば、困ったときにも支援を依頼しやすいですよね。
金融機関さんにしても、ご支援しやすいはずです。
支援が必要なのは経営不振の場合だけではありません。
災害や感染症のような、自分の力ではどうにもならないことで一時的に借入が必要になることもあります。
災害などは、いつ起きるか分かりません。
出来れば普段から少しお付き合いをして、関係を作っておく方が良いと思います。
こまめなコミュニケーションが信頼を作る
そのためには、「困ったときだけ相談に行く」のでは不十分だと思います。
●定期的に経営状況を伝える
●課題があれば早めに共有する
●小さな改善の積み重ねを説明する
など、日常的なコミュニケーションが、いざというときの支えになります。
事業を続けるために融資が不可欠なのであれば、金融機関と信頼関係を築くことも大切な仕事です。
前後の記事
コメントを書くにはログインが必要です







