2026-03-02

投資判断は感覚より数字で──お金のブロックパズルのすすめ

黒字でも、お金の流れは把握しておく方が健全に経営できます。

ここ数年、半分以上の仕事が「経営改善」になっています。
この仕事を一言でいうと、借入金の返済が厳しくなってきたので、返済できるようにビジネスをブラッシュアップすること。
それと合わせて、改善効果が出るまでの間、金融機関の支援をいただくことがメインです。
色々な案件に対応する中で、ご相談に至るパターンがいくつかあるなと感じました。

経営の立て直しが必要になる2パターン

一つは、ジワジワと売上が落ちて利益を出せなくなり、返済が滞るパターン。
何年も赤字が続いていて、赤字を補填するために借入金に依存してしまっているパターンです。

もう一つは、稼ぐ力自体はあるけど、返済の負担がそれ以上に重くなっているパターン。
1店舗目は好調なのに、2店舗目の出店に失敗してしまったり、出店時に土地・建物から取得して事業を始めるなどしたため、返済額が稼ぐ額を大きく超えてしまっているパターン。

経営改善の仕事をする前は、1つ目のジリ貧パターンばかりかと思っていましたが、実際にやってみると2つ目のパターンも結構あります。
個人的な経験に基づいた話なので、あくまでも「私調べ」ですが。

2つ目のパターンになる理由は様々でしょうが、「将来予測が楽観的過ぎ」という点があげられるかもしれません。
お話を聞いていると、ちゃんとソロバンを弾いてから投資を決めたわけではない方が多い模様。
ザクっと「お客さんが●●人来るから、売上●●万円になるから、借入金を返せるだろう」みたいな、本当にざっくりした試算で投資を決めてしまっているようです。
このパターン、今年だけで3件支援しているので、そこそこ多いと思います。

返せるかどうかを考えてない場合もある

中には、返済額のことはあまり考えず、「出店したら売上がいくら、利益がいくら増えるか」しか検討していない場合もあるようです。
すると、確かに出店によって利益は増えたものの、増えた利益以上の返済額が必要になって、経営が苦しくなっているパターンもあります。

もちろん、数字をシミュレーションしたからと言って、その通りになるわけではありません。
実際にやってみないと分からないこともとても多いです。
それでも、事前に数値をシミュレーションしておくのは有益だと思います。

頭の中だけで考えていると、どうしても見落としが多くなります。
例えば、売上原価を甘く見積もっていたり、人件費を計算に入れていなかったり。
ヒアリングをしていると、売上はある程度見えていることが多いですが、経費の抜け漏れは本当に多いです。
他には、賃金アップや物価の高騰を考えていなかったり。

自分だけで考えていると、どうしても視点が限られます。
売上や経費について網羅的に考えているつもりでも、抜け漏れが発生するのは仕方ありません。
頭の中だけで考えているなら、なおさらです。

お金のブロックパズルを書いてシミュレーションしてみよう

投資を考える時は、お金のブロックパズルを書いてみましょう。
※お金のブロックパズルは、私たちキャッシュフローコーチが活用している、会社のお金の流れをビジュアルでとらえることができる、使い勝手の良いツールです。

お金のブロックパズル

売上や変動費、粗利は書けると思います。

固定費の部分になると、抜け漏れが結構出てきます。
なので
「この投資をすることで、人件費はどれくらい増えそうか」
「今考えている人数で足りるだろうか?休みの対応はできるだろうか?」
「この先賃上げをするとなれば、どれくらい人件費が増えるだろうか?」
「雑費や消耗品を少なく見積もっていないだろうか?」
「広告宣伝費をかけないでお客さんが来てくれるだろうか」
「そもそも検討すらしていなかったコストはないだろうか」
などなど。

書き出してみると、見逃していたコストがずいぶん出てくることがあります。
開店してから「想定外の費用がたくさん出てきた」なんてことになると、リカバリーが大変です。

投資に関する意思決定は冷静に

目の前にチャンスがあったり、良いアイディアを思いついたりしたときは、それをものにしたいと思うのが経営者というもの。
その気持ちはよく分かります。
でも、突っ込んでいく前にいったん立ち止まって、
「本当に投資して大丈夫か?」
「想定通りいかなくても返済はできそうか?」
「土地や建物は買うのではなく借りることはできないか?」
等を検討してみてください。

想定通りの成果があげられればそれが一番ですが、そうならなかったときのダメージを抑えるのも重要です。

脱★ドンブリ経営セミナーでお話ししている方法

私がお話しする「脱★ドンブリ経営セミナー」では、「根拠ある売上目標の設定」というパートがあります。
そのパートはこんな感じで進んでいきます。

1.将来のビジョンに基づいて、投資したい内容と金額を検討する。
2.必要投資額を生み出すためのお金を計算する。
3.そこから逆算して、利益や投資に伴って増加する経費を計算する。
4.計算した利益や経費を賄う粗利を算出し、目標売上を設定する。
5.目標売上が課題になった場合は、投資額や増加する経費を見直す。
6.ビジョンや投資額、利益や売上を行ったり来たりしながら、ブラッシュアップする。

目標設定をするときの考え方を示したものですが、投資を検討するときにも良いと思います。
特に3~6がとても重要なパートです。
ここをスルーしてしまうと、リスクが高くなります。

繰り返しになりますが、検討したからと言ってその通りになるものではありません。
しっかり検討したつもりでも、抜け漏れがあることもあります。
突発的な、想定外の経費が掛かることもあります。
それでも、ザクっとした検討しかしないよりは、安全だと思います。

投資の失敗はその後長く経営に影響を与えます。
ぜひ投資する前に、しっかり検討するようにしてくださいね。

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